1972年の沖縄返還の際に日米両政府が交わしたとされる「密約文書」をめぐる情報公開訴訟で、東京地裁は9日、密約の存在を認めたうえで、国が文書の不存在を理由に開示しなかった処分を取り消し、開示を命じる判決を言い渡した。原告1人当たり10万円の国家賠償も命じた。杉原則彦裁判長は、文書を破棄したことの立証を国に求め、「国民の知る権利をないがしろにする国の対応は不誠実だ」と述べた。 問題となったのは、沖縄返還にからみ、日米の高官が合意して(1)米軍基地の移転費用などを日本側が財政負担する(2)米軍用地の原状回復費400万ドルと沖縄にあったラジオ放送「アメリカの声(VOA)」の国外移転費用1600万ドルを、それぞれ日本側が肩代わりする――ことを示す一連の密約文書(7種類)。元毎日新聞記者の西山太吉さん(78)らが08年9月に情報公開請求したのに対して、外務省と財務省は「存在しない」ことを理由に開示