かつて日本で問題となった「忖度」が、世界の政治やビジネスの場でも頻繁に見られるようになっている。権力を持つ側の意向を先回りして汲もうとするこの行為が広がる背景を、英紙「フィナンシャル・タイムズ」の日本特派員が考察する。 きっかけは安倍政権 高市政権が発足してから半年が過ぎたいま、日本の官僚はいかにも苛立った様子で「忖度」しはじめている。 狭義では「他人の心中を推測する」という意味を持つこの言葉は、古くから存在している。だが現在のように政治やビジネスの文脈で、「まだ命令が下されていないのに先回りして、空気を読みながら相手の機嫌を損ねないように従うこと」を指すようになったのは比較的最近のことだ。 忖度を生み出すヒエラルキーは一見合理的だが、民主主義の後退や組織の機能不全、正当な手続きを無視しようとする権力の横暴にも結びついている。 さらに言えば、この現象は日本に限って起きるわけではない。現代を

