飯島勲内閣官房参与が平壌を発つ前日の16日、万寿台議事堂で出迎えたのは金永南(キムヨンナム)最高人民会議常任委員長だった。金正恩(キムジョンウン)第1書記に次ぐ序列ナンバー2。握手を交わしながら「光栄です」とあいさつする飯島氏に対し、金委員長は「歓迎します」と笑顔で答えた。 15日には、国際関係を統括する金永日(キムヨンイル)朝鮮労働党書記(党国際部長)が飯島氏と会った。北朝鮮関係筋は「担当書記に加えてナンバー2まで出てきたのは、安倍首相の『特使』として処遇したからだ。しかも公式メディアを通じ、歓待ぶりをすぐに公表した。日本の退路を断って政府間協議を本格化させるとともに、日米韓を離間させる狙いがある」と指摘する。 北朝鮮が日本との協議で目指すのは、まずは日本による制裁の解除だとの見方が関係者の間では多い。拉致問題の解決に前向きな姿勢を示すことで、日本から一部でも制裁の解除を引き出し、国