カリフォルニア州矯正局は先日、8月末までに約8,000人の服役囚を釈放すると発表した。理由は言うまでもない。世界の囚人数のうち約4分の1を収容するアメリカでは、刑務所内での感染拡大が深刻な問題になっている。考えてみれば「密」を避けるうえでこれほどハードルが高い場所もないかもしれない。同州では2月以降すでに約10,000人が解放されている。 いくら手に負えないとはいえ、そこまでするのかと思った人もいるだろう。だが本書を読んだ身からすると、起こるべくして起こった事態との印象が強い。新型コロナをきっかけに、もともとのいびつな構造が可視化されたという見方もできる。まして本書のテーマである民営刑務所ともなれば、まだ明るみになっていないことも多いのではと想像してしまう。 州や連邦の手による公営とは異なり、民間企業が運営する「刑務所ビジネス」は、1970年代から加速した囚人数の増加を受けて急拡大してきた
![『アメリカン・プリズン──潜入記者の見た知られざる刑務所ビジネス』「更生より収益性」の原理が支配する民営刑務所の実態 - HONZ](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/3d3b97827e45717dcac8741c378ec370d9306e4d/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fm.media-amazon.com%2Fimages%2FI%2F51xsMSF88DL.jpg)