『七夜物語』を読んだ。 酒井駒子さんの表紙と同じように素敵なお話でとってもわくわくするファンタジーであった。 読み始めてすぐ、私はこどもの頃のわたしになった。 どこにでもいそうなこどもが本の世界へ導かれ、進んでいく、あの高揚感がそこにはあった。 小学四年生のさよが、図書館でみつけた『七夜物語』は読んだはしから内容をすっかり忘れてしまうふしぎな本。さよはクラスメイトの仄田くんと一緒にその物語に導かれ、「夜の世界」へ迷いこむのだ。料理上手なおおねずみのグリクレル、あらゆるものを夜の世界へ連れ込もうとするウバ、人間のように話し出すエンピツやコクバン。夜の世界での出来事は夢があるけれど、厳しさも同時に合わせ持っていた。現実の世界では、さよや仄田くんの成長が垣間見られ、微笑ましく思えた。 途中、ちょっと教訓めいていてうるさいかなと思う部分もあったのだが、読み終えてしまえば素直に「楽しかった」と思えた