「元気に生まれた赤ちゃんがカンガルーケアの最中に急変し、深刻な事態に」こんなニュースがしばしばTV、新聞で報じられ、実施を中止した施設も出ている。カンガルーケアは危険なのだろうか?そもそも出産直後の赤ちゃんは自力呼吸への劇的な転換を成し遂げたばかりで、すべての子が不安定だ。カンガルーケアをする、しないに関わらず、そうした時期を十分に見守る態勢が日本の分娩室に備わっているだろうか。カンガルーケアの背景を考えてみると、周産期医療の基本的な盲点も見えてきた。 2010年6月 紙REBORN33号より ●「子育てのつながるお産」の象徴だったカンガルーケアが・・・ カンガルーケアは、1970年代、南米のコロンビアの首都ボゴタの病院から広まった。この病院では保育器が不足している上に早産や低出生体重児も多く困窮していたが、まるでカンガルーのように母親が四六時中抱き続けるようにしたところ感染症による院内死