「まずは今日使う駒を磨き、対局者がみえたらお茶を出してください」「脇息(きょうそく)、駒台の向きが逆です」… 8日朝、東京・千駄ケ谷の将棋会館4階の対局室「飛燕・銀沙」で、初めて記録係を務める早稲田大2年、寺尾侑也さん(20)に、隣の記録係を務める奨励会員や無事なデビューを見守る手合課職員から声が飛んだ。 公式戦対局の記録係に、今月から本格的に大学の将棋部員が起用されたのだ。当面、持ち時間各2時間程度という短時間の女流将棋が対象。 記録係はプロ棋士の卵である奨励会員が担当しているが、近年、とくに東京で慢性的な人手不足に陥っていた。背景は「奨励会員の低年齢化と進学率の上昇」(日本将棋連盟事務局)。 関東奨励会には6級から三段まで、11歳から25歳まで総勢80人を超える、主に10代の少年少女が修業している。ほとんどは中学、高校生で、卒業しても最近は大学に進む者が多くなって記録の席に座れないのが