<MRを駆使した「バーチャルお化け屋敷」など新時代のホラーエンターテインメントを生み出す深澤の底知れぬ驚きの世界> 目を開けると、中世ヨーロッパの朽ち果てた洋館の廊下に立っている。目の前の重厚感のある扉を開けると、長年無人だった家独特のよどんだ空気に包まれ、カビ臭さにツンと鼻を突かれた気さえする。絶えず何かの気配を感じながら、ふとランタンを隅の暗闇にかざすと、壁に黒光りしたイナゴの群れが羽を震わせながらうごめいていた。 どこからともなく聞こえてくる子守歌。声をたどって部屋に入ると、ベッドの横に優しそうな貴婦人がたたずんでいる。ようやく人に出会って安堵したのもつかの間、彼女には足がない──。すると突如、醜悪な亡霊に変わり、すごい速さで迫ってきた。絶叫して身を縮めた瞬間、亡霊が体の中を通り過ぎていった。現実ではないのに、冷気が体を吹き抜けるのを感じた。 これは昨夜の悪夢でも妄想でもない。東京・