今年(2023年)の7月に、ジェイムズ・P・ホーガンの『星を継ぐもの』の新版が、東京創元社から刊行された。これを見て、あらためて本書が最初に刊行された、1980年のことを思い出した。発売直後か、それともしばらく経ってからかは覚えていないが、『星を継ぐ者』は凄いと、大きな話題になったのである。しかもSFファンの間だけではなく、ミステリー・ファンの間でもだ。なぜならホーガンのデビュー作は、優れたSFであると同時に、優れたミステリーであったからだ。つまりSFミステリーの傑作なのである。 もともとSFには、ミステリー的な手法を使った作品が少なからずある。エンターテインメント・ノベルの多くが、何らかの形で〝謎〟を提示し、読者の興味を引っ張るようにしているので、当然といえば当然なのだろう。とはいえSF作家が書くと、やはりSF味の方が強くなりがちだ。一方で、ミステリー作家によるSFミステリーは、ミステリ
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