お役所の常識が世間とかけ離れていることの証左ではないか。 東京都の下水道局が職員の制服2万着を新調した際に、胸に張る「東京都下水道局」のワッペンを、デザインが都の内部規定とわずかに違うことを理由に作り直した。 そのために3400万円を費やしたという。民間企業では考えられない出来事である。 当初のワッペンは「東京都」の文字がやや小さく、下部に水色の波線があった。これが、都庁の全部局で統一性のあるマークを使うよう定めた「基本デザインマニュアル」に反するらしい。 下水道局は、最初のデザインを決めた担当者を訓告処分にした、と内規違反を強調していた。 問題意識がずれている。まず責任を問うべきは、内規を杓(しゃく)子(し)定規に守るために巨額の公費を使って作り直すよう命じた者だ。 当初のワッペン(写真上)と作り直したワッペン(同下)の印象はそれほど違わない。 都のマニュアルは「あくまで基本を示すもので