題名:SFオンライン『アリーテ姫』レビュー原稿 SFに何を求めるかは人によって様々であるが、もし知的冒険を求めているのであれば、ぜひお勧めする。それがスタジオ4℃制作、片渕須直監督の長編アニメ『アリーテ姫』である。 作品の舞台は、一見中世のファンタジー風に見える世界。かつて栄華を誇っていたという魔法使いの末裔が、姫を囚われの身にする……なんてうっかり書いてしまうと「またか」と思われるだろうが、ところがどっこい、これはSFなのである。これくらいちゃんとSFしているアニメは、恐らく他にはないのではないだろうか。 「充分進んだ科学は魔法と見分けがつかない」とはSF作家クラークの発言だ。最近ではラリー・ニーヴンをよく読み返しているという片渕監督は、本作品をアニメ化するときに、やはりこの言葉を意識したという。 変身の魔法は遺伝子操作によるもので、水晶球にはプログラムが仕掛けられ、地表に降る星はかつて