タグ

ブックマーク / tomio.hatenablog.com (14)

  • 『シャーロック・ホームズの凱旋』(中央公論新社) - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

    森見登美彦氏の最新作『シャーロック・ホームズの凱旋』が一月二十二日に発売された。幸いなことに「発売日重版」ということになったが、これもひとえにシャーロック・ホームズという不滅のキャラクターのおかげであろう。 「森見登美彦のシャーロック・ホームズ?」 「ミステリなんて書けるの?」 そのような心配は無用である。作中のホームズは深刻なスランプに陥っており、まともな推理は何ひとつできないからだ。そもそも作は「絶対にミステリを書かない」という固い決意のもとに書かれたのである。少年時代の憧れであったシャーロック・ホームズを「スランプ中のダメダメ探偵」へと引きずり下ろしたのは申し訳ないことだが、そうやって徹底的におとしめられてもホームズは依然としてホームズだった。 作を読むにあたって、とくに予備知識は必要ない。 ・シャーロック・ホームズは名探偵である。 ・ワトソンはその相棒・記録係である。 ・モリア

    『シャーロック・ホームズの凱旋』(中央公論新社) - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ
    honeybe
    honeybe 2024/01/26
  • 万城目学氏、直木賞を受賞する - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

    昨年、十二月二十一日のことである。 森見登美彦氏は、万城目学氏と、ヨーロッパ企画の上田誠氏との忘年会に参加した。年末の京都に清らかなおっさんたちが集う忘年会も、すでに六回目を数える。 「六回目といえば」 ということで、万城目氏が新作『八月の御所グラウンド』で六回目の直木賞候補になっているという話になった。 しかし万城目氏の顔つきは暗かった。 「どうせあかんねん」 「待ち会はしないんですか?」 「そんなもんせえへんわ。いつもどおりにしてる」 それはいかん、と登美彦氏は思った。度重なる落選にウンザリする気持ちはよく分かるが、直木賞はようするに「お祭り」なのであって、盛りあがらなければ損である。「待ち会」は落ちてからが番なのだ。落選したってええじゃないか! 「何をいじけてるんです。待ち会やりましょう!」 「なんでやねん!」 「やるなら東京まで行きますって」 「あ、それなら僕も行きます」と上田氏

    万城目学氏、直木賞を受賞する - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ
    honeybe
    honeybe 2024/01/19
    https://twitter.com/maqime/status/1747577780479598730 / この時。いい写真だよなぁ。
  • 森見登美彦氏、新年を迎える。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

    謹賀新年 新年というのはいいものである。 なんだか身の引き締まるような感じがする。 さっぱりと生まれ変わったような気分で、 「今年こそは〇〇を成し遂げる!」 と決意したくなる。 身も蓋もないことを言うと、昨年できなかったことが今年ならできると考えるのはおかしい。今年できることなら昨年にもできたはずなのだ。しかしお正月というステキな時空においては、「成し遂げられるかどうか」なんて、実はどうでもよいことなのである。決意をあらたにすることによって魂をリフレッシュする――お正月の意義はそこにある。私たちは元旦の決意に具体的な成果を求めないようにしたい。そんなことをするから「三日坊主」の犠牲者が引きも切らず、人々は己を責め、無意味に傷つき、相争い、世相はすさんでいく一方なのだ。 大切なのは成果ではない。気持ちである。心である。希望である。 さて、年の森見登美彦氏の抱負は次のとおりだ。 「今年こそ『

    森見登美彦氏、新年を迎える。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ
    honeybe
    honeybe 2022/01/05
    謹賀新年
  • 森見登美彦氏、京都市芸術新人賞をもらう - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

    森見登美彦氏は「京都市芸術新人賞」をもらうことになった。 京都市芸術新人賞については下記をごらんください。 https://www.city.kyoto.lg.jp/bunshi/page/0000279484.html 「京都市では,市出身者又は市内において活発な文化芸術活動を行い,全国的にも評価を高め,将来を嘱望される方々に『京都市芸術新人賞』を,また,同じく京都市内で活動を行い,新人の育成又は芸術に係る活動環境の向上に多大の功労があった方々に『京都市芸術振興賞』を授与し,その功績を称えています。」 上記のページの下の方には「被表彰者功績調書」という書類があって、ほかの受賞者のみなさん、そして登美彦氏の調書がある。覗いてみると面白い。これを読んでいたら、なんだか自分が華々しくグローバルに活躍しているような気持ちになって、登美彦氏はとても嬉しかった。ありがとうございます。 関係者の皆

    森見登美彦氏、京都市芸術新人賞をもらう - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ
    honeybe
    honeybe 2021/01/14
  • ドロステのはてで僕らは四畳半タイムマシンブルース - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

    四畳半タイムマシンブルース (角川書店単行) 作者:森見 登美彦 発売日: 2020/07/29 メディア: Kindle版 森見登美彦氏、じつに久しぶりの「腐れ大学生」小説である。 『四畳半神話大系』から十六年、それだけの歳月を超えて、かつて書いたキャラクターをふたたび書くのは容易なことではない。「私」にしても「小津」にしても「明石さん」にしても当時てきとうに書き散らかした筆にまかせて自由に生みだしたものであるから、計算して再現するのは不可能である。 というわけで、『四畳半神話大系』とまったく同じとは言いにくい。 一番大きなちがいは、全体的に丸くなったというか、みんな可愛らしくなったという点であろう。主人公の「私」にしてもそうだし、とりわけ「明石さん」がそうである。その理由としては、登美彦氏が歳を重ねて学生時代から遠くはなれたからということもあるし、中村佑介氏によって描かれた「明石さん

    ドロステのはてで僕らは四畳半タイムマシンブルース - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ
    honeybe
    honeybe 2020/07/30
  • 森見登美彦氏、直木賞に敗北する。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

    熱帯 作者: 森見登美彦 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2018/11/16 メディア: 単行 この商品を含むブログ (3件) を見る 昨年のクリスマス・イブのことである。 万城目学氏が京都へやってくるというので、劇団ヨーロッパ企画の上田誠氏も交えて忘年会をすることになった。たしか一昨年の聖夜も、この三人のおっさんたちで清らかな京都の夜をさまよった。ひょっとして、これから死ぬまで聖夜はこのメンバーで過ごすことになるのだろうか……。 ともあれ、万城目学氏が京都へ来るというなら、知らんぷりはできない。 そういうわけで、世にも清らかなおっさんたちは京都市内で落ち合うと、タイ料理店で皿いっぱいのパクチーをもぐもぐ頬張り、次に立ち寄った小料理屋で「我々は文士である」と主張したところ「は?」と問い返されて恥じ入ったりしつつ、花見小路のそばにある静かな酒場へと流れつく頃にはすっかり夜も更けて

    森見登美彦氏、直木賞に敗北する。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ
    honeybe
    honeybe 2019/01/18
  • 森見登美彦氏、直木賞に敗北する。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

    昨日、森見登美彦氏は京都駅の新幹線ホームに立っていた。 ボーッとしていると、声をかけてくる人があった。 誰かと思えば上まなみさんだった。 登美彦氏は驚いて「うわ!」と言った。 上さんは笑っていた。 「これから東京ですか?」 「今日は直木賞の選考会でして……」 登美彦氏が言うと、上さんは「ああ!」と察してくれた。 それにしても新幹線で上さんと偶然会うなんて初めてのことである。 「これが直木賞のチカラか!」 登美彦氏はそう思ったのである。 待ち会は文京区某所の某中華料理店の二階で開かれた。 まるで親戚の家みたいな心地よいところである。 やがて五時を過ぎると国会図書館の元同僚や各社の担当編集者の方々が集まってきて、みんなで美味しい中華料理べた。聞くところによると冲方丁さんもどこかで待ち会をしているらしい。どんなところでやっているのだろうか、冲方さんも同じ緊張感を味わっているのかな、な

    森見登美彦氏、直木賞に敗北する。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ
    honeybe
    honeybe 2017/01/21
  • 「夜は短し歩けよ乙女」劇場アニメ映画化 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

    公式サイト http://kurokaminootome.com/ 「出世作」と呼ばれるものがある。 『夜は短し歩けよ乙女』は間違いなく出世作である。 この作品は薄暗い四畳半世界に天から射しこんできた一条の光というべきであった。もしこの作品が存在しなかったら、登美彦氏は暗い四畳半世界の片隅をぐるぐるし続けて自家中毒を起こしていただろう。「黒髪の乙女」は当時二十代であった登美彦氏を新世界へ連れだしてくれたのである。それから今日にいたるまで、登美彦氏はこの作品の遺産に頼って生き延びてきた。誕生から十年、またしても吉報をもたらしてくれた愛娘に対して登美彦氏は感謝するしかない。なんと親孝行な娘であることか。 湯浅政明監督をはじめ、アニメ「四畳半神話大系」に携わった方々の再集結も嬉しいことである。紆余曲折あって六年後の実現ということになったが、「終わりよければすべてよし」となることを登美彦氏は祈る。

    「夜は短し歩けよ乙女」劇場アニメ映画化 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ
    honeybe
    honeybe 2016/12/16
  • 『有頂天家族 二代目の帰朝』(2/26発売予定) - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

    有頂天家族 二代目の帰朝 作者: 森見登美彦出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2015/02/26メディア: 単行この商品を含むブログ (37件) を見る 「出す出す遂に出す」 そう言いながら、出せないままに早幾年。 森見登美彦氏の信用は失墜した。 今更「出るよ」と言っても、誰も気にしてくれないのである。 しかし『有頂天家族 二代目の帰朝』は二月二十六日、幻冬舎から発売予定である。「この毛深いを買ってくれそうな人たちに、できるだけ広く知らせていただければ幸甚」と、登美彦氏は述べている。 読者諸賢の御助力を乞う。 予告 東山三十六峰ことごとく笑う新緑の候、かつて赤玉先生との闘争に敗北して欧州へ逃れた二代目が帰朝し、新たな物語の幕が上がる。将棋を愛する雌狸南禅寺玉瀾、狸を化かす幻術師天満屋、自宅の庭に四半世紀籠もる菖蒲池画伯、宗教団体を率いる狸谷不動の祖母など、へんてこりんな狸と人間が

    『有頂天家族 二代目の帰朝』(2/26発売予定) - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ
    honeybe
    honeybe 2015/02/09
    ! / 文庫化もしくはkindle化待ちなのだが(居住スペースとの兼ね合い
  • 『四畳半王国見聞録』(新潮社) 6月26日発売 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

    森見登美彦氏が、アニメ「有頂天家族」に関するもろもろで右往左往している間に、この小さな恐るべきものが世に出る支度をととのえていたのであった。登美彦氏の第十一子にして、四畳半的暴れん坊。 これは登美彦氏の四畳半的妄想を実験的に煮詰めたである。 ぐつぐつ煮詰まっている。 「もうよせ!」と、氏の友人は助言した。「それ以上『四畳半』をつきつめると帰れなくなるぞ!」 その通りであった。 四畳半が無限に増殖していく悪夢的世界。 登美彦氏自身が後になって、 「自分でもウッとなった」 と、側近の者に洩らしたほどである。 「当に帰れなくなりかけた」 と、登美彦氏はぷつぷつ呟く。 「もうしない。もうしない」 そのタイトルにもかかわらず、『四畳半神話大系』との関連性はさほどない。 推定するしかないが、単行の刊行当時、アニメ「四畳半神話大系」放映の余波によって原作『四畳半神話大系』の売り上げが増大しており、

    『四畳半王国見聞録』(新潮社) 6月26日発売 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ
    honeybe
    honeybe 2013/06/25
  • 森見登美彦氏、びっぐうぇーぶと向き合う。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

    今を去ること二年前、森見登美彦氏は締切太郎を召還した。 締切太郎の召還とは「並み居る締切次郎たちを一斉に投げ出す」という荒技であり、人生にそう何遍も使える手ではない。乱用すると信用をなくす。しかし当時の登美彦氏はくたばりかかっていたため、やむを得なかった。 「複数の敵と戦う場合、決して囲まれてはならない」 登美彦氏は体勢を立て直しつつブツブツ言った。 「狭いところへ誘いこんで、一匹ずつやっつける。戦いの基である」 そういうわけで、締切次郎たちは一列に並んだのであった。 つぶらな瞳に涙を溜めて―。 そして登美彦氏は一匹目の締切次郎をやっつけた。 『聖なる怠け者の冒険』である。 現在、登美彦氏は二匹目の締切次郎と戦っている。 『有頂天家族』の第二部である。 なかなか愉快な仕事である。 愉快だからこそジックリやる。 したがって、いつ終わるのか分からない。 そんな登美彦氏の机上の戦い(の遅延)と

    森見登美彦氏、びっぐうぇーぶと向き合う。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ
    honeybe
    honeybe 2013/06/14
    「しかし、敢えて努力はしない」 / 予告編あとで見ます。
  • 『聖なる怠け者の冒険』の復活 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

    三月十六日、森見登美彦氏は生駒市図書館で講演的なものをした。 生駒市は登美彦氏がこの世に生をうけた地であり、大学に入学して奈良をはなれるまで暮らした街でもある。 登美彦氏は幼少の頃、今は亡き祖父といっしょに生駒市図書館へ行った記憶がある。 「ひとりで講演なんて恐ろしいことはできかねる」 と登美彦氏がワガママを言ったため、 角川書店の担当編集者である小林川頁氏がいっしょに喋ってくれた。 当日にはたいへん大勢の方々が、奈良のみならず、県外の遠方からもやってきてくださり、「生駒市図書館の熱い期待に反して会場ガラガラ」という哀れむべき事態を避けることができた。ありがたいことである。会場は生駒市の誇るらしいスウィーツ「たけひめプリン」や高山の茶筅などのお土産販売会場になり、副市長さんもやってきて、なにやらお祭りめいていた。登美彦氏は自分がちんちくりんの神様にでもなったかのような、妙にくすぐったい気持

    『聖なる怠け者の冒険』の復活 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ
    honeybe
    honeybe 2013/03/19
    あとで読む
  • 登美彦氏、『四畳半神話大系』最終回を見る。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

    森見登美彦氏は仕事が終わったあと、角川書店へ出かけて雑誌の取材を受け、『ペンギン・ハイウェイ』300冊にサインをした。 それらの仕事が終わる頃には午前0時を過ぎていた。 登美彦氏は若干焦っていた。 登美彦氏は家路を急ぎ、『四畳半神話大系』が始まるまでにテレビの前に座ることに成功した。 そして最終回を観た。 OPが始まるなり、登美彦氏は仰天した。 それからあとは楽しさと淋しさを味わいながら目をしっかり開いて見続けた。 しっかり見続ける登美彦氏の目の前で、『四畳半神話大系』は四月から続いた放映を終えた。 かくして登美彦氏は楽しみを一つ失った。 活動漫画版『四畳半神話大系』は登美彦氏がかつて書いた『四畳半神話大系』とは違うかたちではあるものの、しかしこれ以上のかたちは今となっては考えられないほどに楽しい映像化であった。 人生で初めて映像化された自分の作品が、湯浅政明監督による『四畳半神話大系』で

    登美彦氏、『四畳半神話大系』最終回を見る。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ
    honeybe
    honeybe 2010/07/02
    スタッフ皆様含めお疲れ様でした!大変楽しく拝見させていただきました。
  • 登美彦氏、圧倒される。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

    森見登美彦氏は仕事の合間に、活動漫画版「四畳半神話大系」の第七話を見た。放映前であるが、登美彦氏は原作者の立場を利用してDVDを手に入れたのである。 前回においてジョニーが熱く語り出したが、今回は香織さんが語り出す。 かくも危険な脚を書いた人である上田誠氏はこう表現した。 「常軌を逸している」と。 そしてまた、登美彦氏も同じことを呟かざるを得ない。 「常軌を逸している」と。

    登美彦氏、圧倒される。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ
    honeybe
    honeybe 2010/05/31
    「常軌を逸している」期待。
  • 1