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ブックマーク / dain.cocolog-nifty.com (13)

  • なぜ、あの人は、あやまちを認めないのか?

    「謝ったら死ぬ病」をご存知だろうか? どんなに証拠を突き付けても、絶対に非を認めない人だ。 プライドの高さや負けず嫌いといった性格的なものよりもむしろ、過ちを認めることが、自分の命にかかわるものだと頑なに信じている。すなわち、「謝ったら死ぬ」という病(やまい)に取り憑かれている―――そんな人がいる。 もちろん、想像力が衰えて視野が狭く、無知な自分を認めたがらないような頑固者なら、可哀そうに思えども理解はできる。 だが、第一線で活躍する知識人や学者で、ものごとを客観視できるはずなのに、この病気に罹っている人がいる。それどころか、その優れた知性を用いてコジツケを考えだし、論理を捻じ曲げ、のらりくらりと言い逃れる。 なぜ、あの人は、あやまちを認めないのか? ずばりこのタイトルの書を読んだら、疑問が氷解した。 それと同時に、「謝ったら死ぬ病」は私も罹患していることが分かった。「あの人」ほどは酷く

    なぜ、あの人は、あやまちを認めないのか?
  • この本がスゴい!2023

    「あとで読む」と思ったが、後で読まれた試しがない。 今度の週末・連休にと、積まれたは崩されない。次の盆休み・年末年始に繰り越され、山脈を成し床が消える。 読書事になぞらえて、「血肉化」と表現するならば、私がやっていることは、メニューを眺めて片っ端から注文しているくせに、いんすた映えを気にしながら撮るくせに、まともに咀嚼して嚥下して消化してない状態だ。 そのくせ、「積読も読書のうち」と開き直ったり、溜まったこそ私の証などと屁理屈こね回す。読まないに「負債」のような後ろめたさを感じつつ、新刊を探しだす。新しいはそれだけで価値があると盲信し、かくして積読リストは延びてゆく。 もう一つ、恐ろしい予感がある。感受性の劣化だ。 あれほど楽しみに「取っておいた」が、まるで面白くなくなっている。いや、そのの「面白さ」が何であるかは理解できる。だが、それを面白いと感じなくなっているのだ。

    この本がスゴい!2023
    hoshinekodou
    hoshinekodou 2023/12/02
    ラジオ深夜便の「絶望名言」のコーナー好きだったので書籍気になる。寝て置きたらちゃんと読む
  • この本がスゴい!2021

    「後で読む」は、あとで読まない。 「後で読む」は、あとで読まない。 「試験が終わったら」「今度の連休に」「年末年始は」と言い訳して、結局読まなかった。「定年になったら読書三昧」も嘘になるだろう。そもそも、コロナ禍で増えた一人の時間、読書に充てたか?(反語) だから「いま」読む。 たとえ一頁でも一行でも、目の前の一冊に向き合う。いま元気でも、一週間後には、読めなくなるかもしれないから。 今年は、死を意識した一年でもあった。「やりたいこと」を先延ばしにしてるうちに、感染して望みが断たれる可能性が爆上がりした。 時の経つのは早い。人生が長いほど、一年は短くなる。体感時間は加速する一方、人生の可処分時間は、短くなる。 だから「いま」読む。 積読を自嘲したりマウント取るのもヤメだ。いま読まない理由を並べ立てて開き直る不毛も捨てよう。そして、ずっと取っておいた、とっておきのを、いま読む。 そんなつも

    この本がスゴい!2021
  • おかしな議論にごまかされないための『論証のルールブック』

    『論証のルールブック』は、簡潔で説得力のある文章を書くためのルールが、50にまとめられている。1つのルールに1つの例文、1つの解説という構成で、このそのものが簡潔さを目指している。 ごく基的な常識レベルのものから、見落としがちな盲点まで、まんべんなく網羅されているのがいい。いくつか紹介する。 主張には根拠が必要だ 数字は他のエビデンスと同じような検証が必要だ 長文の論証や、口頭で伝える際、サインポストを活用する 論点先取の見抜き方 「主張には根拠が必要だ」なんて、当たり前すぎて、なにを今さらと感じるかもしれない。確かにその通りだろう。だが、実際に、事実のフリをした意見や、根拠レスの主張に出会ったとき、即座に見抜けるだろうか。 たとえば、この主張なんてどうだろう。 聖書に神は存在すると書かれているから、神は存在する 聖書は神が書かれたのだから、正しい これは、結論が前提に含まれた有名な例

    おかしな議論にごまかされないための『論証のルールブック』
  • 辛すぎることは、向き合うんじゃない、やり過ごすんだ。『胃に穴』

    わたしを支える言葉に、「開いた窓の前で立ち止まるな」という警告がある。人生は悲哀に満ちており、生きるに値しないと思うときもあるけれど、それでも生きていくためにはどうするか? そのコツが、この言葉だ。 このセリフは、ジョン・アーヴィングの2番目の傑作『ホテル・ニューハンプシャー』で知った。苦しみや悲しみが大きすぎて、生きていくのが辛いとき、真正面から向き合うのは得策ではない。まともに対処しようとするうちに、たまたま開いていた窓から出て、人生から降りてしまうから。 辛すぎることは、やり過ごす そうじゃないんだ。辛すぎることは、向き合うんじゃない、やり過ごすんだ。 この、やり過ごす方法を教えてくれるのが、フミコフミオ氏の『胃に穴』になる(当のタイトルはもっと長い)。理不尽な仕事での「怒り」の扱い方や、「正義」を強要する人との向き合う心得、あるいは非人道的な仕打ちを受ける結婚生活のしのぎ方が、経

    辛すぎることは、向き合うんじゃない、やり過ごすんだ。『胃に穴』
    hoshinekodou
    hoshinekodou 2019/10/11
    “人生を立ちどまってもいい。そんなのしょっちゅうだ。だが、開いた窓、通過する総武線快速、新宿NSビルの吹き抜け、そこで立ちどまってはいけないのだ。”
  • おっさんから若者に贈る「経験を買う」6冊: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

    結論から言うと、経験は買える。 適切なタイミングで適切なと出会うことで、しなくてもいい経験や、身につけておくべき知恵を”買う”ことができる。今「おっさん」である私から、20年前の「若者」だった私に、いい仕事をする上で読んで欲しいを選んだ。 20年前は、炎上プロジェクトに飛び降りて、鎮火しつつ撤退する「しんがり」役を仰せつかっていた。負けることは決まっているが、死なないように生きることばかり考えていた。将来に漠然とした不安を感じていたものの、とにかく目の前の障壁をクリアすることが先決だと思っていた。 今はかなり違う。 身をもって得た経験や教訓はあるが、代償は大きく、もっと効率よく結果につなげることができたはず。この「効率」とは要するに時間だ。莫大な時を費やして手に入れた経験は確かに得難いが、そんなことをしなくても積むことはできた。どうすれば可能か、今なら分かる。 それはを読むことだ。

    おっさんから若者に贈る「経験を買う」6冊: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる
  • 音楽と快楽のあいだ「響きの科楽」

    ずっと不思議だった疑問、「なぜこの曲に心が震えるのか」。 その謎が、ようやく解けて感動してる。しかも、分かったからといって、その曲への愛着が薄れるどころか、いっそう(狂おしいほど)増している。音楽について新しい耳をもたらしてくれる、嬉しいスゴ音楽は音から成り、音とは振動のこと。振動が音になるしくみは糸電話で子どもに説明できる。だが、音楽の音と、雑音の音の違いは何か、いつ音は音楽になるのか、そして、なぜ音楽を聴くと心が揺さぶられるのか……音楽家でもあり物理学者でもある著者は、科学的に解き明かす。同時に、音楽を「芸術」という枠に押し込めていた思い込みを砕いてくれる。音楽は物理学を基盤とした工学であり、論理学に則った芸術なのだ。 まず、書でいちばん嬉しかった部分―――「なぜこの曲に震えるのか」を振り返る。音楽が感情を揺さぶるのは、転調に秘密があるという。音階が上がっていくにつれ、その調の

    音楽と快楽のあいだ「響きの科楽」
  • 「10代の子をもつ親が知っておきたいこと」はスゴ本

    あと数年で思春期にさしかかる。「なってから」読むのでは遅い。だから、「なる前に」やれる準備はしておこう。そのための心強い一冊となった。一読、「思春期の親業」に自信がつく、スゴというよりも、心構えをつくる。 もちろんマニュアル世代ですが何か? こういう手引きというかマニュアルを良しとしない人がいる。だが、むしろ先達の経験+専門家の知識を短期間で吸収できる。あたって砕けろ的な現場主義はいただけない。で練習して、実地に適用する。教ばかりも情けないが(ビジネス書フェチの畳上水練)、選んで読んで、実践とフィードバックをしていこう。 思春期のポイントは2つ、「自尊心」「コミュニケーション力」を育てること。「自尊心」とは、そのままの自分の存在を肯定する気持ちのこと。「コミュニケーション力」は気持ちを分かりやすく伝えることで、他者とのつながりを深めたり、求めるものを得る能力のこと。両者は密接な

    「10代の子をもつ親が知っておきたいこと」はスゴ本
  • スゴ本100

    いつのまにか1000エントリ超えてたので、ここらで100に絞ってみる。 このblogで「スゴ」認定されたもの、企画「この○○がスゴい」で挙げられたものを、100にまとめてご紹介。順序適当、偏見なし、ビジネス、サイエンス、エロマンガ。ブンガク、ビジュアル、なんでもアリ、啓蒙、アダルト、劇薬なんでもござれ。「ノンフィクション」、「フィクション」、そして「劇薬系・成人指定」の三立てでご紹介。番号は便宜上つけたものなので、ランキングにあらず。 こんなにスゴいに出合えたのは、すべてあなたのおかげ。いいはたくさんあるのだが、全部読んでるヒマもないし、探している時間も足りない。だからわたしは、スゴいを読んでいる「あなた」を探す。あるいはこのblogにやってきた「あなた」の言を待つ。そうしたツッコミやアドバイスをいただき、とても感謝しています。 この100リスト全て鉄板モノだが、「それをスゴ

    スゴ本100
  • 大学教師が新入生にすすめる100冊

    恒例の100冊リスト。 ただし、これまでの趣向を外した。「ベスト100ランキング」は楽しいが、変わりばえしない。毎年似たような「ベスト100」をヒネり出すのも飽きた。ホントのところ、「大学新入生」と銘打っているものの、わたしのためのブックリストなのだ。読んできたやつ、未読のやつ、読みたいやつを抽出したりふり返るためのきっかけなのだから。 だから、今回はランキングをしない。母体のリストは、「大学教師が新入生にオススメする」なんだけれど、そこからの選出はわたしの手になるもの。今までのリスト作成の過程で知り合えたものや、「読まねばリスト」に追加したもの。積読山に刺さったまま、課題と化しているものを中心に100挙げた。 もちろんこの100冊を参考にしてもいいし、母体リストから自分専用の一覧を作ってもいい。母体のリストは三千弱になるが、元となったのは、以下のリスト。ブックガイドは多々あるが、「大学

    大学教師が新入生にすすめる100冊
  • つい悪用したくなる「サブリミナル・インパクト」

    自衛のためだけでなく、活用のために読むべし。 無意識の認知メカニズムが、人の意思を「意思決定」しているよ、という。さらに、そうした認知系に直接トリガーをかけ続けているのが現代社会で、わたしたちは自分で選んでいるようにみえても、それは制御された結果なんだよ、と主張する。 SFでさんざん弄ばれてきたテーマなので、別に驚きゃしない。が、ここまで検証されると、恐ろしいを通り越してこっちが利用したくなる。マスメディアを通じた大衆誘導や世論操作、欲望を活性化させるコマーシャリズムは、もはや「古典」。むしろ、騙されていることに自覚的になることで、毒をもって毒をコントロールできるようにならないと。 たとえば、新型インフルエンザ。甘く見るのは問題だが、露出操作の裏側に、"意図"を垣間見ることはできないか。マスコミ露出が激しくなるにつれ、「なぜ今?」という疑問が出てくる。流行は以前からあったにもかかわらず、

    つい悪用したくなる「サブリミナル・インパクト」
  • 平凡なわたしが非凡な文章を書くために「不良のための文章術」

    小飼弾氏の文が非凡なのは、弾氏が非凡だから。では、平凡なわたしは凡庸な文しか書けないのか? それは違う、やり方しだい。 その「やり方」を教えてくれるのが書。 おっと、いそいで注釈を入れなければならないのは、この「非凡な文」について。「非凡な文」とは、読み手の心を動かすもので、納得・共感だけでなく、反発・批判も含まれる。感情のベクトルは関係なく、スカラーが大なるものこそ「非凡な文」なの。 そして書、「不良のための」とは、要するにカネになる文章だということ。出版社が原稿料を払う気になる文章であり、読者がカネ出して買う気になる雑誌やに載っている文章のこと。弾氏の文章もこれにあたる。 座右にしたい書の目玉は、「凡庸な文が非凡な文に仕立て上げられていくプロセス」がこと細かに解説されているところ。最初は、箸にも棒にもかからない「書評」や「グルメガイド」の例文が出てくる。そいつを徹底的に調理しつ

    平凡なわたしが非凡な文章を書くために「不良のための文章術」
  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 東大、京大、北大、広大の教師が新入生にオススメする100冊

    毎年この時期になると、「東大教師が新入生にオススメするベスト100」という企画で紹介してきたが、飽きた。 ほとんど変わり映えしないリストにも飽きたし、毎年「ベスト1はカラマーゾフ!」とハヤすのも飽きた。カラ兄が最高であることはさんざん宣伝してきたから、皆さんご承知だろう(異論・反論大歓迎、これを超えるものがあるならね)。 だから、今回はスコープを広げてみる。 ■ この企画の趣旨 東京大学に限らず、新入生を迎えるにあたって、センセイたちは思うところがある(はずだ)。ゼミにくる前に、せめてこれぐらいは読んでおいてもらいたいと望んだり、若かりしころハマったで自分語りをしてみたり。そうした願望を吸い上げているところもいくつか見つけた。以下のとおり。 リスト1 「北海道大学教員による新入生への推薦図書」 リスト2 「京都大学新入生に勧める50冊の」 リスト3 「広島大学新入生に薦める101冊」

    わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 東大、京大、北大、広大の教師が新入生にオススメする100冊
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