東京・文京に形成されたベンチャー企業の集積地「本郷バレー」が拡大を続けている。その中心に本郷キャンパスを構える東大は起業家と研究成果を供給し、拡大の原動力となってきた。 最も多くの起業家を輩出してきたのは、安田講堂に隣接する研究棟に入居する松尾研究室かもしれない。研究室を主宰する松尾豊教授は、「ベンチャー企業が活躍しないと、日本経済は成長しない」と断言する。 松尾氏はAI(人工知能)研究の第一人者として知られ、研究室の学生たちに起業を勧めてきた。過去3年間だけでもエーシーズ、aiQ、イライザ、ビスタット、OLLOなどのAI関連ベンチャーが生まれ、「起業ラッシュ」が続く。松尾氏は「研究室内には『企業に就職したくない』という雰囲気がある」と言う。それは官庁や大企業に幹部候補を供給してきたかつての東大の姿とは異なる。 ベンチャーがコロナ後の主役に
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