オレの居所なら、電話帳に載っている誰かが「ハード・ボイルドの真髄はつまるところ主人公にいかにかっこいいセリフをいわせるかだ」というようなことをいっていました。 うん、なるほど、わかるぞ! 元ヘビー級ボクサーという異色経歴を持つボストンの探偵・スペンサー。彼が活躍する『初秋』(ロバート・B・パーカー 菊地光 訳/ハヤカワ・ミステリ文庫)という物語の中で探偵はこうのたまいます。 「名はスペンサーだ。サーの綴りは、 詩人と同じようにSだ。ボストンの電話帳に載ってるよ」 これだけならどうということはないのですが、スペンサーはこの後にこう続けます。 「『タフ』という見出しの項にな」 ぐおおっ、かっけー!! 雑魚がいったら、ギャグにしかならないセリフなのですが、どんな圧力にも屈せず、つねに犯罪者との戦いに身をおくスペンサーがいうとマコトにサマになるのです。 男には大言壮語すべきときがあるボードゲーム