東芝の不適切会計問題を巡り、株主が会計監査を担った新日本監査法人(東京)に損害賠償を求めた株主代表訴訟で、原告の株主側が請求額を約105億円から1兆円に増額したことがわかった。監査法人を訴えた同種訴訟は珍しく、請求額が1兆円に上るのは異例だ。 東芝は2015年7月、パソコン部門で利益を水増しするなどの不適切会計があったとする外部の第三者委員会の報告書を公表し、3人の歴代社長が辞任。金融庁は15年12月~16年1月、不適切会計を見抜けなかったとして、新日本に一部業務停止や約21億円の課徴金納付を命じ、16年9月、大阪府内の株主が約105億円の賠償を求めて東京地裁に提訴した。 ただ、その約3か月後、米国にある東芝の原発子会社ウェスチングハウス(WH)が15年12月に買収した米国の原発建設企業の資産価値が想定より大幅に低かったことも発覚。東芝は米原子力事業で1兆円超の損失を計上する事態となった。