Netflixオリジナルアニメ作品として2018年1月に配信された湯浅政明監督の『DEVILMAN crybaby』は、基本的には永井豪の原作を忠実に守りながらも、舞台を川崎へとアレンジしている。現在の日本のラップ・ミュージックを語る上では欠かせない重要な土地であり、中一男子生徒殺害事件など凄惨な事件の記憶も新しい「川崎」という記号が同作で選ばれたのには、どのような理由があるのか? 川崎のラップ・ミュージックからヘイト・デモに対するカウンター・アクション、移民や貧困層の子供たちに対するソーシャル・ワークまでをドキュメントした強烈なルポルタージュ『ルポ川崎』を上梓した音楽ライターの磯部涼に考察してもらった。 普遍的な「歌」として描かれたラップ・ミュージック 「私の歌だった」。ミーコは涙を流しながら言う。ククンのラップによる〝告白〟は、彼女に対して愛を告げるものであったけれど、同時に、内気で冴