どうしてジャーナリストが機能不全だと「大本営発表」を招くのか? 「ジャーナリズムなどなくても、政府の発表があるではないか」というかもしれない。だが、政府はしばしば真実を隠し、嘘を発表する。大本営発表の苦い歴史がまさにそうだったはずだ。 太平洋戦争下の大本営発表は、実にデタラメなものだった。戦艦撃沈の戦果は4隻から43隻(10.75倍!)に、空母撃沈の戦果は11隻から84隻(約7.7倍!)に水増しされ、反対に、戦艦の喪失は8隻から3隻に、空母の喪失は19隻から4隻に圧縮された。 単なる戦時下の情報規制では説明がつかない。ここまで酷くなった大きな原因のひとつは、当時のジャーナリズムが機能不全に陥ったことだった。 メディアが「大本営は勝ったといっているが、現地で取材したところまったく違った」などと報道していれば、軍部もここまで厚顔無恥にはなれなかっただろう。仮に虚偽を発表しようとしても、内部で「