分権組織のマネジメント・ツールとして、振替価格について論じたのですが、今回は、分権組織としての事業部制あるいはカンパニー制について整理しておきたいと思います。 企業で採用されている分権組織としては、事業部制がもっとも多いのではないでしょうか。事業部制とは、基本的には製品開発に始まり、製造、販売そしてこれらを管理するためのすべての機能を有する組織であり、製品(ライン)別あるいは地域別に設置されます。製造事業部や販売事業部という形式の組織もしばしば見かけますが、これらは上記の定義とは異なるもので、製造や販売という機能に特化した組織であり、いわゆる機能部制組織というものです。わが国では機能部制組織が多数見られます。 事業部制組織を採用するメリットは、特定の製品や市場に関する権限と責任を与えて、迅速かつ有効に環境変化に対応することができること、業績に関する責任が明確になるので、事業部長に動機づけ