「火浦功なんていないんです!」 (朝日新聞社 2007年10月5日発売 「ニワトリはいつもハダシ 両A面」より) 読者の皆さんも、うすうす勘づいてはいるとは思いますが、出版界のタブーを破って、あえて暴露します。 火浦功なんて作家は、存在しないんです! 彼は、1980年代の前半に、下北沢で飲んでいた当時のSF作家の面々が、酔いにまかせて「こんな作家がいたりして・・・」と、おもしろ半分にでっち上げた、架空のSF作家です。 今にしてみれば、アロハにサングラスとか、ゲーム好きとか、大体「書けないSF作家」っていう設定そのものが、いかにも都市伝説っぽいと思いませんか? じゃあ、小説は誰が書いていたかと言うと、これも最初は、火浦功を生み出したSF作家たちが手分けをして取り組んでいました。 で、ある時期からは、出版社ごとに担当の作家を立てて書き続けていたんです。 彼らは便宜上「火浦番」編集者とされていま