菅義偉首相の退陣表明から始まった2021年の政変は、後継首相に岸田文雄氏が就き、衆院の解散・総選挙で自民党が絶対安定多数を維持、岸田首相が日本のかじ取りを担うことになった。2020年夏の安倍晋三首相の退陣を含め、日本の政治は新型コロナウイルスの感染拡大に翻弄された。 その底流に見えるのは、重大な危機に対応すべきガバナンス(統治)能力の欠如である。感染者を救うための医療体制、困窮世帯を支援する給付金の支払い……。与野党は各種の対策を掲げるが、本質的な問題を解決できない政治システムは温存されたままだ。 「自民党祭り」となった秋の政局 10月31日投開票の総選挙は、自民党にとって、まさに「命拾い」となった。菅政権が続いていたら70議席以上を減らし政権から転落することさえ予想されていた。 だが、菅氏の総裁選出馬断念→自民党総裁選→岸田新首相の選出と続いた秋の政局は「自民党祭り」となり、支持回復につ