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ブックマーク / huyukiitoichi.hatenadiary.jp (92)

  • 兵站に焦点をおいたミリタリーSF──『星系出雲の兵站』 - 基本読書

    星系出雲の兵站 1 (ハヤカワ文庫JA) 作者: 林譲治,Rey.Hori出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/08/21メディア: 文庫この商品を含むブログを見るミリタリーSFといえばおおむね超光速航法があり、人類よりも高度な技術力を持つ敵エイリアンがいて、英雄的艦長がいて、とお約束がある。当然すべてが同じではつまらないので、それぞれの作品ごとに、お約束をちょっと外してみたり、”どこにこだわるか”を決め(キャラクター性だったり、艦隊戦の描写だったり、兵士たちの感情だったり、経済に注目してみたり)特色が出てくるものなのだが、林譲治による作『星系出雲の兵站』でこだわっているのは、書名にも入っている通り”兵站”だ。 書のあとがきは『子供の頃から疑問に思っていたことに、TV・映画などで地球を侵略に来る宇宙人への疑問があった。どうして彼らは地球人より高度な技術を持っているのに、負けて

    兵站に焦点をおいたミリタリーSF──『星系出雲の兵站』 - 基本読書
    htnmiki
    htnmiki 2018/08/23
    ポチった
  • 人類のほぼ全てが視力を失った終末世界──『トリフィド時代―食人植物の恐怖』 - 基本読書

    トリフィド時代 (人植物の恐怖)【新訳版】 (創元SF文庫) 作者: ジョン・ウィンダム,中村融出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2018/07/30メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る英国SF界にその名を轟かすジョン・ウィンダムの代表作『トリフィド時代』の新訳版が出た。僕も三足の動く植物がまあなんかスゲーんだよ!! という雑な評判は知っていたのだが読むのは今回がはじめて。第二次世界大戦の爪痕が色濃く残る1951年に刊行された作品だけれども、今読んでもめちゃくちゃおもしろい。 基的には終末世界をわずかに生き残った人間がロードームービー的に旅をしていくのだが、その世界には人間をべる凶悪な植物〈トリフィド〉がいて──と、今でいうと終末ゾンビ物のゾンビがトリフィドに入れ替わったような感じか(内容はずいぶん違うが)。ゾンビだと「死」の象徴としての側面が強いし、手垢が

    人類のほぼ全てが視力を失った終末世界──『トリフィド時代―食人植物の恐怖』 - 基本読書
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    htnmiki 2018/08/02
    キンドルストアにないかと探したら出てきた「ドリフィドの日」とは別物なのかな。紙だと躊躇してしまう……
  • ビル・ゲイツが絶賛しオバマ前大統領が楽しんだ本格宇宙SF──『七人のイヴ Ⅰ』 - 基本読書

    七人のイヴ ? (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) 作者: ニール・スティーヴンスン,日暮雅通出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/06/19メディア: 新書この商品を含むブログを見るサイバーパンクの傑作として名高い『スノウ・クラッシュ』、ナノテクの発達によって変容した文明社会を描き出す『ダイヤモンド・エイジ』などでその名を世界に轟かせたニール・スティーヴンスンによる格宇宙SFがこの『七人のイヴ』である。 早川書房からのリリース文では『マイクロソフト創業者のビル・ゲイツが「思考を喚起する圧倒的な面白さ」と自身のブログで絶賛。また、任期中のオバマ前大統領が夏に楽しんだ1冊だと公表したことでも話題となった全米ベストセラーです。』とあり、え、それは当にSFなの? と疑問に思ったぐらいだったが、月が突如として7つに分裂して以後の、人類の存亡をかけたサバイバルを描く純然たる傑作(今のとこ

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    htnmiki 2018/06/19
  • 初心者向けのオススメSF記事を書きました&補足アフタートーク - 基本読書

    今日「それどこ」に初心者向けのSFについて寄稿したので、こちらではその補足というかアフタートークでも。そもそも「初心者向けのSF」ってなんやねんという話でもしながら、取り上げられなかった/取り上げたかったの話でもしようかと。 srdk.rakuten.jp 取り上げたは五冊あるが(リンク先参照)「これこそが初心者向けのSFだオラーテメーらに教えてやるぜー!」的なノリでいくと普通に荒れるので、今回は「僕はこういうSFを読んでSFの沼にズブズブハマっていきましたよ」と逃げの入った選定となった。記事の対象読者としてはSFこれまで意識しては一冊も読んだことないな〜という人たちで、短篇集は一冊入れてー恋愛ものも(打ち合わせの時に要望があったので)入れてー雪風は(自分がそれをきっかけに読み始めたので)入れてー、あとはハードSFも一つは入れてー、そりゃ飛浩隆は入れるでしょーという感じで決めた。 あと

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    htnmiki 2018/05/16
  • 共感によって繋がった"悪の勢力"vs賄賂も脅迫も通用しない選りすぐりの"善の勢力"──『マルドゥック・アノニマス』 - 基本読書

    能力者同士の”勢力”間の争いを描いてきた『マルドゥック・アノニマス』もついに第三巻。一巻も二巻もドチャクソおもしろかったけれども、三巻はその遥か上をいく面白さだ。二巻ですでにギア・フルスロットルだと思っていたが、あれはまだまだ序の口であった。三巻に至っては、アホほどおもしれえ、なんだこれはなんだこれは……と呆然としながら読み進めてしまった。おもしろすぎて頭痛がしてくるぐらいだ。 huyukiitoichi.hatenadiary.jp この『マルドゥック・アノニマス』については、すでに『マルドゥック・スクランブル』全三巻、『マルドゥック・ヴェロシティ』全三巻の冊数を超えていくことがもう確定しているわけだけれども、現時点ですでに、冲方丁のすべての作品を合わせた中でも最高傑作になるんじゃなかろうかと期待してしまう(いや、アニメ脚ゲームシナリオあるしシュピーゲル・シリーズもあるし、”最高”を

    共感によって繋がった"悪の勢力"vs賄賂も脅迫も通用しない選りすぐりの"善の勢力"──『マルドゥック・アノニマス』 - 基本読書
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    htnmiki 2018/03/27
    みちゃこ「共感♪共感♪共感してくださ~い♪」
  • 森博嗣の傑作を見事にコミカライズした一冊──『赤目姫の潮解』 - 基本読書

    赤目姫の潮解 (バーズコミックス スペシャル) 作者: 森博嗣,スズキユカ出版社/メーカー: 幻冬舎コミックス発売日: 2018/03/24メディア: コミックこの商品を含むブログ (1件) を見る数ある森博嗣作品の中でも『赤目姫の潮解』は、イメージの奔流のような描写の数々、抽象から抽象へと流れるように話が/視点が繋がっていくスタイル、その詩的な表現の横溢によって多くの読者から難解であるとか、最高傑作であるとか言われている一冊なわけだけれども(でも一番多い言及は「百年三部作の最終作なのにミチルもロイディも出てこないじゃん! かも」)書はそのコミカライズ版である。 ちなみに、僕は迷わず「最高傑作」派だ。これほどまでに読んでいて心地の良い作品は他に存在しないし、こんな語り、描写のスタイルがあるんだ、やってもいいんだ、と気づかせてくれる、”小説の可能性”を広げる自由な一冊なのである。単行でも

    森博嗣の傑作を見事にコミカライズした一冊──『赤目姫の潮解』 - 基本読書
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    htnmiki 2018/03/26
    森博嗣の傑作が森田健作に見えたので今日はもう帰っていいですか
  • ゲーム好きにはたまらんゲームSF傑作選──『スタートボタンを押してください』 - 基本読書

    スタートボタンを押してください (ゲームSF傑作選) (創元SF文庫) 作者: ケン・リュウ,桜坂洋,アンディ・ウィアー,アーネスト・クライン,ヒュー・ハウイー,コリイ・ドクトロウ,チャールズ・ユウ,ダニエル・H・ウィルソン,チャーリー・ジェーン・アンダース,ホリー・ブラック,ショーナン・マグワイア,デヴィッド・バー・カートリー,ミッキー・ニールソン,ジョン・ジョゼフ・アダムズ,緒賀岳志,米光一成,中原尚哉,古沢嘉通出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2018/03/12メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る小説を読むのも好きだがゲームをやるのも大好きだ。受動的に一の道を読み進めていくのと、自分自身の手で操作し、分岐なしの一道であっても自分が思うままに進めていくのとではその体験は大きく違ったものになる(別にゲームは物語があるものだけではないが)。というわけで『スター

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    htnmiki 2018/03/13
  • 世界をディストピアに変えてしまった時間航行士の奮闘を描く時間SF──『時空のゆりかご』 - 基本読書

    時空のゆりかご (ハヤカワ文庫SF) 作者: エラン・マスタイ,金子浩出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/02/06メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る書『時空のゆりかご』は著者エラン・マスタイのデビュー作にして、”ユートピアだった世界”を”くそみたいな世界”──我々が暮らすこの世界のことだが──に変えてしまった時間航行士の、時空を超えた奮闘を描くスマートな時間SFだ。過去を変えることで未来も変わってしまうという使い古された時間SFのアイディアを扱いながらも新しい道、読み味を開拓しており、驚くほど新鮮に読める作品である。 デビュー作とはいえ、著者は『アローン・イン・ザ・ダーク』や『もしも君に恋したら。』などの脚を手がける手練の脚家。書も時間SFにありがちなそこそこ複雑な構造・構成をとり、メタ的な要素までありながらも抜群に読みやすく、ネタ的には格的なS

    世界をディストピアに変えてしまった時間航行士の奮闘を描く時間SF──『時空のゆりかご』 - 基本読書
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    htnmiki 2018/02/07
    "ヴォネガットみ"
  • もし太陽フレアによって、全世界が長期の停電に陥ったら──『赤いオーロラの街で』 - 基本読書

    赤いオーロラの街で (ハヤカワ文庫JA) 作者: 伊藤瑞彦,富安健一郎出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/12/19メディア: 文庫この商品を含むブログを見る書は、第五回SFコンテストで受賞はのがしたものの最終選考に残った長篇作品である。受賞した『コルヌトピア』、『構造素子』共に、違った方向へと目を向けた素晴らしい作品だっただけに、受賞は逃したとは言え刊行された書にも期待しながら読み始めたのだけど、これがおそろしく地味な作品ながらもめっぽうおもしろいanond.hatelabo.jp ちなみにはてなの人には上の記事を書いた人のといったほうが伝わりやすいかもしれない(僕は物なのかどうかはしらないが、小川一水さんも下記のようにツイッタで反応していたし物なのではないだろうか。MIZさん、なんで増田で書いてんですかw— 小川一水 (@ogawaissui) 2017年12

    もし太陽フレアによって、全世界が長期の停電に陥ったら──『赤いオーロラの街で』 - 基本読書
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    htnmiki 2018/01/07
    面白かった。ちなみに私のしょっぱい感想。 https://anond.hatelabo.jp/20171228225952
  • わたしたち人間はなぜ音楽を愛するのか?──『ドビュッシーはワインを美味にするか? 音楽の心理学』 - 基本読書

    ドビュッシーはワインを美味にするか?――音楽の心理学 作者: ジョンパウエル,濱野大道出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/11/07メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る人間は音楽を聞く。通勤、通学のときはもちろん、家でゆっくりしているとき、みんなで盛り上がるとき、つらいことがあったとき、無理矢理にでもテンションを上げたいとき、退屈な作業をしているとき。我々はさまざまなシーン、用途にたいして音楽を聞いているわけだけれども、あらためて考えてみると「果たしてそれはどのように機能しているのか?」「なぜそれは機能するのか?」「音楽にはどれだけの影響力があるのか?」「人間はなぜ音楽を愛するのか?」など不思議なことが数多くある。 わたしたち人間はなぜ音楽を愛するのか? それは音楽を聴くことが、脳に適度な刺激を与え、同時に喜びを与えてくれる最良の方法だからだ。サイエンス

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    htnmiki 2017/11/18
    おもしろい
  • 早川書房の電子書籍版「海外SFセール」がきたので個人的オススメを紹介する - 基本読書

    早川書房が突然電子書籍版の海外SFセールをはじめたので、SFマガジンで海外SFブックガイドの連載を担当していてかつブログも書いている身なので、これはまあ、さすがになんかオススメとか書いておいたほうがいいかという気持ちになってきたので今この記事を書いている。いろいろな角度からオススメしたいばかりなので全部取り上げられるわけではないが、まあ軽い目安としてご活用ください。 まずはこれを読むと良いのでは?? ハヤカワ文庫SF総解説2000 (早川書房) 出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2016/07/08メディア: Kindle版この商品を含むブログを見るハヤカワ文庫SF総解説2000。2015年に出た『ソラリス』文庫版によって2000番に到達したハヤカワ文庫SFを記念して、2000冊分のSFを総解説した一冊。ほとんどの作品は340文字で的確に、シリーズ物などは1ページまるっと使って解説し

    早川書房の電子書籍版「海外SFセール」がきたので個人的オススメを紹介する - 基本読書
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    htnmiki 2017/11/11
    ディックの翻訳物をスラスラ読める人って凄い。俺全然無理だった……
  • 知能の高いヤツがバカなことをする理由──『知能のパラドックス』 by サトシ・カナザワ - 基本読書

    知能のパラドックス 作者: サトシ・カナザワ,金井啓太出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2015/07/24メディア: 単行この商品を含むブログを見る「知能のパラドックス」と書名にもなっているとおり(原題はthe intelligence paradox)、知能が高いことが=賢い、素晴らしいことにはならない、知能が高いからこそバカなことをするヤツラが出てくる理屈を提示する一冊で、そのパラドックスはこれから説明していくとわかると思うが、かなり面白い。 知能のパラドックス仮説を正しいとするならば、背の高い人や社交的な人が、そうでない人より価値が高いとか優れていることとは別であるように、知能が高いことも低いこともそうした良いこともあれば悪いこともある単なるステータスの一つとして受け入れられるようになるだろう。ただ、その仮説を補強するように集められているデータとそこからひねり出された理屈

    知能の高いヤツがバカなことをする理由──『知能のパラドックス』 by サトシ・カナザワ - 基本読書
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    htnmiki 2015/07/25
    知能が高い個人と、知能が高い集団で、ちょっと意味が変わりそうなイメージある。