ブックマーク / kfujiiasa.hatenablog.com (645)

  • 「吉野の霧 太平記」 - 厚狭吉亭日乗・神戸残日録

    桜井好朗(さくらいよしろう)著「吉野の霧 太平記」吉川弘文館刊を読み終えた。 よく知られているように、「太平記」は鎌倉時代の終焉から室町時代の始まりに至る日列島全体を巻き込んだ動乱の時代、いわゆる南北朝時代を扱った古典である。 このは中世史の専門家である著者が、40巻に及ぶ太平記を若者向けに24のエピソードとして現代語抄訳したもので、元々1978年に刊行されたものを歴史専門出版社の「読みなおす日史シリーズ」のひとつとして復刻されたものである。 表題に使われている「吉野の霧」は、動乱の主役のひとり南朝の後醍醐天皇が吉野で亡くなられるエピソードの章題にも使われており、の「はじめに」を読むと、著者はこの霧を人間世界の見通しのきかない状況、動乱が始まる前の混沌とした状況に見立てている。 私の子供の頃、「太平記」は色々なエピソードが児童書に使われていて、小学校下校時に図書館に寄り読み耽った想

    「吉野の霧 太平記」 - 厚狭吉亭日乗・神戸残日録
  • 孫二人の来訪/鹿島神宮のこと - 厚狭吉亭日乗・神戸残日録

    昨日はお盆休みということもあり娘が孫二人を連れてやって来た。 もうひとりの孫は用事で大阪へ早く帰ったとのことで残念だが、残る二人は何れも私と同じく製造業勤務で仕事や会社生活のあれこれを話し合った。 一人は勤務先の関係で茨城県に住んでいて、近くに鹿島神宮があると聞き、地元の人などとの交流に役立つかなとの老婆心もあり、ついつい鹿島神宮にまつわる話をする羽目になってしまった。 鹿島神宮の祭神は、古事記にも記された大国主命(おおくにぬしのみこと)との国譲り神話や、神武天皇(じんむてんのう)の東征神話にも登場する武甕槌大神(たけみかづちのおおかみ)であり、雷神や剣の神としての性格から武道の神として知られる。 現代でも遠くに旅立つ場合など安全を祈って「鹿島立ち」というが、これは古代に大陸の外敵から九州を守るために東国から派遣される防人(さきもり)が、武神を祀る鹿島神宮に立ち寄り安全と無事の帰還を祈った

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  • 戯曲・「鬼灯(ほうずき)ー摂津守(せっつのかみ)の叛乱ー」 - 厚狭吉亭日乗・神戸残日録

    「空海の風景」が載っている司馬遼太郎全集第39巻には巻末に司馬遼太郎作品では極めて珍しい戯曲2編の内のひとつ「鬼灯ー摂津守の叛乱」が載っている。 司馬さんの戯曲は今まで芝居を観たことも無いし読んだことも無かったが、興味を引く対象でもあり、何やら土地の縁もありそうで面白く読ませて貰った。 戦国時代に関心がある人には広く知られている織田信長の軍団長の一人・荒木村重を扱ったもので、この作品は文学座の依頼で書かれ、昭和50年(1975)に高橋悦史さん、杉村春子さん等により初演されたようである。 以前から荒木村重については非常に不可思議な人物として記憶にあるが、以下その経歴を司馬さんの『「鬼灯」創作ノート』をベースに簡潔に記すと、 ・一僕から身を起こし摂津の豪族・池田氏の家臣を経て織田信長のもとで摂津国(せっつのくに・大阪府北西部と兵庫県東部)の国主。 ・配下に何れも摂津を地盤とする、キリシタン大名

    戯曲・「鬼灯(ほうずき)ー摂津守(せっつのかみ)の叛乱ー」 - 厚狭吉亭日乗・神戸残日録
  • 「空海の風景」② - 厚狭吉亭日乗・神戸残日録

    作家・司馬遼太郎さんが生前自ら最も好きな著作と呼んだ長編「空海の風景」をようやく読み終えた。 ようやくの意味は二つ有り、前回のブログに書いたように若い日に読みかけて途中で「密教」の意味にこだわり挫折してしまったこと、もうひとつはこの位の分量であれば通常2~3日もあれば読み終えると思うのだが約1週間位かかってしまったことにある。 もともと無宗教無信心と自己分析している身からすると、ここに書かれてある密教と顕教を始めとする仏教関係の記述の理解にはついていけず、特に前半部分で行きつ戻りつしている間に時間が経ってしまった。 これを乗りこえ読み終えることが出来たのは、 ・この作品中の主なストーリーのひとつが、遣唐使から帰国後の空海と最澄(さいちょう・伝教大師、天台宗を創始)の関係だが、空海が持ち帰った密教経典を最澄が借用を申し出、それを最初の内空海は快く応じていたが、最も重要な「理趣経(りしゅきょう

    「空海の風景」② - 厚狭吉亭日乗・神戸残日録
  • 中断中の独り言・「空海の風景」① - 厚狭吉亭日乗・神戸残日録

    最近NHK でたて続けに作家・司馬遼太郎さんの「空海の風景」に材をとった番組が放送され、幸い何れも録画する機会がありようやく見終わった。 ①NHKスペシャル「空海の風景前編 大唐渡海の夢」「後編 弘法大師への道」ー2002年制作の再放送 ②こころの時代(宗教・人生)「シリーズ空海の風景前編 "天才"の旅立ち~大唐渡海の夢」「後編 密教宇宙の創造~弘法大師への道~」ー2023年空海生誕1250年、司馬遼太郎生誕100年を期して制作されたものの再放送 ②は①の内容を宗教番組に焼き直したもので映像はかなりの部分で同じものを使い、司馬さんと親交のあった宗教学者・山折哲雄さんや真言宗僧侶の各々の話や対話を加えて進行する。 山折さんが②の番組の冒頭、司馬さんの意図をもふまえ「その時点で世界を一変させた天才、ヨーロッパでのコペルニクスとガリレオに匹敵するものを日に求めるとするとその天才は「空海」のみで

    中断中の独り言・「空海の風景」① - 厚狭吉亭日乗・神戸残日録
  • 8月句会 - 厚狭吉亭日乗・神戸残日録

    一昨日は住んでいる施設の俳句サークル8月の例会だった。欠席が2名有り13名の出席。 私は今まで詠んだ句やブログに載せたものの中から、今月の兼題「蟻」を含む以下の五句を出した。 ①蟻の眼に吾(あ)は木偶(でく)なるか恐竜か 施設の図書室で新聞を読んでいると、蟻が一匹テーブルに来て一瞬私の方を見る仕草をした。私に新聞か何かを読んで欲しいと云っているような、またその時蟻の眼に私がどう映っているかとふと思ってしまった。 ②梅雨出水(つゆでみづ)濁りは海へ青を裂く 昨年の梅雨時、前日大雨が降った朝ベランダから見ると川からの濁り水が海へ流れ出し沖まで色を付けていた。今年はこの現象は見られなかったが、この状況をいつか俳句にしようと心にとめていて、ふとした拍子に五・七・五になった。 ③炎昼(えんちゅう)や針と降り来る陽の光 太陽の光に刺されるような気持ちになった始まりは、現役時代のタイ駐在時だが、最近の夏

    8月句会 - 厚狭吉亭日乗・神戸残日録
  • 中断中の独り言・塩野七生「翔ぶが如く」を読む - 厚狭吉亭日乗・神戸残日録

    月刊誌・文藝春秋8月号にイタリア在住の作家・塩野七生さんが『「翔ぶが如く」を読む』と題して、塩野さん連載の巻頭エッセイ「日人へ」の250回記念として書かれている。 云うまでもなく「翔ぶが如く」は作家・司馬遼太郎さんの、「坂の上の雲」と並ぶ大長編小説で、明治維新の立役者、薩摩の西郷隆盛と大久保利通の活動、友情や訣別、西南戦争の展開などを描いたものである。 この「翔ぶ」という不思議な題名は、薩摩武士の剽悍(ひょうかん)な様を表したという説と、中国古代の漢詩「詩経」に出てくる鳥と雉の「とぶが如く」とよまれた仲の良い兄弟を西郷と大久保に見立てた、との二説が有る。 塩野さんの「翔ぶが如く」の読み解きは以下のようなことが骨子になっている。 ・「竜馬がゆく」の主人公・坂竜馬は人好きがして明るい。「労」は多かったが若いがゆえに「苦」にはならない若者向きの作品である。 ・西郷隆盛と大久保利通とが主人公に

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  • 中断中の独り言・福島県・桑折(こおり)の桃のお裾分け - 厚狭吉亭日乗・神戸残日録

    施設の入居者の方から福島県伊達(だて)郡桑折(こおり)町の特産桃のお裾分けを頂いた。 「桑折」の名前はその独特の読み方から記憶に刻まれていて、桃に付されていたメモからそれがよみがえって来た。 戦国時代後半、奥州を席巻した伊達政宗で有名な伊達氏は、元々常陸国(ひたちのくに・茨城県)の出自で、源頼朝が奥州・藤原氏を討伐した奥州合戦に戦功があり、奥州伊達郡の地頭職を与えられて伊達氏を称し、桑折郷に居住したことに始まる。 律令制の時代から桑折には伊達郡の郡司が政務を執る役所・郡家(ぐんげ)がおかれ、この事から郡(こおり)と呼称され、ここから一説には盛んな養蚕とも関連して桑折に転化したとも云われる。 伊達氏にはその支流で家臣として支えた桑折を貫地とする桑折氏があるが、作家・山周五郎の小説「樅ノ木は残った」で有名になった「伊達騒動」の当事者・原田甲斐(はらだかい)は桑折氏の縁者である。 郡家は郡衙

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  • 中断中の独り言・パリオリンピック敗戦あれこれ - 厚狭吉亭日乗・神戸残日録

    パリオリンピックの序盤戦では日は予想以上のメダル獲得数で、毎日のダイジェストニュースを聞くのが楽しみになっている。 柔道、馬術、体操、フェンシング、スケートボードなど興味が尽きないが、個人的には男子と女子のサッカーの先行きに大いに期待をしている。 順当に勝った人、予想以上に良い成績を挙げた人がいる反面、周りから大きな期待を受けるなか、悔しい結果になった選手に殊更人間味を感じてしまう。 柔道女子52キロ級の2回戦敗退した阿部詩選手の号泣や、立ち上がれないほどの気落ちはその肩にかかっていた重圧を垣間見たような気がした。 その後の気持ちの切り替えにも感心した。兄の金メダルを喜ぶ姿を見ると必ず復活リベンジするだろうと期待している。 フェンシング女子サーブルで3回戦敗退した江村美咲選手の試合は、直前にNHK BSの番組・スポーツ×ヒューマンで取り上げられているのを観たことや、選手団の旗手だったこと

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  • 中断中の独り言/2025年度基礎的財政収支の黒字化 - 厚狭吉亭日乗・神戸残日録

    直近の色々な媒体を通じたニュースで、内閣府が試算した今後10年程度の経済財政の展望予測では、2025年度の日の基礎的財政収支・プライマリーバランス(PB)がわずかながら黒字になるとのことが報じられている。 以前から政府は、財政健全化の取り組み目標のひとつとして2025年度のPB を黒字化することを掲げていて、今回の報道は、今までの予測が2025年度赤字であったところから一転して、取り敢えずの目標達成が視野に入っていることを示したものである。 基礎的財政収支とは、今までの借金分に相当する国債関係の費用を除き、その時点で必要な政策経費(社会保障や公共事業、防衛費など様々な行政サービスを提供する経費)をその時点の税収等でどれだけ賄えているかを示す指標である。 従ってPB の黒字化は、過去の借金分を考えると財政健全化とは云えないが、その改善取り組みのスタート台に立てたことを意味する。 ニュースを

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  • 中断中の独り言/映画「山の郵便配達」 - 厚狭吉亭日乗・神戸残日録

    NHKBS で放送された1999年の中国映画「山の郵便配達」を長い間録画したままにしていたがようやく見終えることが出来た。 冒頭字幕で出てくる原題は中国語で「那山 那人 那狗・ナーシャン ナーレン ナーゴウ・あの山 あの人 あの犬」である。また併記されている英題は「POSTMEN IN THE MOUNTAINS」となっていて日版の題名は英語の題名を直訳したものになっている。 1980年代始め頃の中国湖南省の山岳地帯が舞台で、長年にわたってこの険しい地域に、歩いて手紙を届けてきた郵便配達人が老いて引退を決め、その後を継ぐことを決めた一人息子と共に最後の配達行に出る。 その配達は往復223kmの距離の山道を、2泊3日かけて重い郵便荷物を背負い、川を歩き崖を登り配達する過酷なものである。 映画はその間の出来事、父と子の心の動き、過去の家族との想い出、手紙の受け取り人達との繋がりなどが、湖南省

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  • 中断中の独り言/蝉の羽化 - 厚狭吉亭日乗・神戸残日録

    昨日は住んでいる施設の有志で近くの健康公園で蝉の羽化を観察する会に参加させて貰った。 数年前にも観察したことがあったらしく、予め目星を付けた公園のシナノキ(科の木)を午後8時頃から観察した。 事前に確認したところ確かに蝉の脱け殻(空蝉)が沢山残されておりその事は昨日のこのブログに一部の写真を載せた。 幸いにも上手く羽化に遭遇出来て、以下にその写真を載せる。 これは画像検索ではアブラゼミのようで、脱け殻に泥などの付着もなく検索結果を裏付けている。 この写真を施設の通路に掲示させて貰った。 今朝8時頃確認すると蝉は完全に飛び去っていて、脱け殻のみが残されていた。やはり爪先は葉を貫いていて、蝉の羽化のサーカスのような動きにもしっかり万全に対応出来ていることがわかる。 揺れる葉に爪刺し堪えて蝉生る 当日、このシナノキには他に二匹の羽化が確認出来た。 こちらは特徴的なクマゼミ、画像検索でも裏付けられ

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  • 中断中の俳句②と最近の写真 - 厚狭吉亭日乗・神戸残日録

    ①最近詠んだ俳句 蟻の眼に吾(あ)は木偶(でく)なるか恐竜か 伝令は小蟻蹴散らし御注進 泥まとひ空蝉語る地下五年 揺れる葉に爪刺し堪えて蝉生る 腕の斑点(しみ)炎暑のタイを刻みおり 露台の夜中島みゆき「麦の唄」 炎昼(えんちゅう)や針と降り来る陽の光 梅雨出水(つゆでみづ)濁りは海へ青を裂く 肥前なる小城羊羹(おぎようかん)の暑気払 夏雲は紀淡に沸きて六甲へ ②最近の写真 いよいよ蝉の出番 揺れる葉にしがみついて羽化する蝉は、葉を抱き抱えると共に爪を葉に刺し通して堪えている。葉を裏返して見ると三つの爪先が裏まで覗いている。 一般にニイニイゼミは湿った土を好み、習性もあって泥が付着しやすいといわれるが、同じ木(シナノキ)で羽化した脱け殻(空蝉・うつせみ)であってもよく見てみると確かに泥の付き方に差がある。(三つの内、上の空蝉は泥が殆ど付いていないが下へいくほど泥だらけ)アブラゼミは殆ど泥が付

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  • 中断中の俳句と庭の花 - 厚狭吉亭日乗・神戸残日録

    🔘中断中に詠んだ12句を記録しておきます。 何故畠(はた)に巣を作るとや蟻に問ふ 空洞(うろ)全て蟻の巣なりと樹の嘆き 樹の空洞(うろ)へ伝令の蟻走り込む 遥かなる六年(むとせ)の記憶極暑(ごくしょ)タイ 極暑の夜(よ)街の灯りも熱帯びて 陽光が皮膚を貫く極暑かな タイ暮らし功徳(くどく)の水と釣忍(つりしのぶ) 釣忍苔は大地に棲みたしと 離陸機は正南風(まはえ)貫き吹き上がる 御国(みけつくに)鱧道中は威勢よし 子燕へ虫狩る飛翔三次元 厚切りのパン薄焼けて梅雨曇り 🔘施設の庭の花 セイヨウニンジンボク(西洋人参木) ムラサキクンシラン(紫君子蘭)・アガパンサス キキョウ(桔梗) ヘメロカリス・忘れ草

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  • 7月句会/お知らせ - 厚狭吉亭日乗・神戸残日録

    今日は住んでいる施設の定例の句会、兼題は「父の日」、私は兼題の1句を含み以下の5句を出した。 ①父の日や娘(こ)選びしシャツ齢(よはひ)告げ 毎年娘からシャツが贈られて来るが、今までどちらかというと若く見られるようなものが多かった気がするが、今年は年齢相当と思えるものが来て否応なく年齢を意識したことを詠んだ。 ②多様性育む草木青葉山 近くの県有林を歩くと名前も知らない草木が種類沢山生え競っていて、人よりも自然の方がはるかに多様性を実践していると思えたことを詠んだ。 ③夜半(よは)嵐朝凪ぐ海は知らぬ気(げ)に 夜の激しい雨風にかかわらず一転して朝の穏やかな海の情景を見て詠んだ。 ④夏の潮紀淡と明石せめぎあふ ベランダから大阪湾方向を見ると大抵、海の色が2つに別れている。紀淡海峡から出入りする潮と、明石海峡を通り瀬戸内海を出入りする潮との出合いが色の違いに出ていると思えることを詠んだ。 ⑤抜歯

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  • ユニクロ40年 - 厚狭吉亭日乗・神戸残日録

    日経新聞のビジネス記事に「ユニクロ40年止まらぬ進化」という見出しで今月、誕生から40年を迎えた(株)ファーストリテイリングが運営する「ユニクロ」の興味ある記事が載っている。 ユニクロは周知のようにUNIQUE CLOTHING WAREHOUSE(ユニーク・独自な衣服の倉庫)からとられた名称で、私が今から30数年前に初めて奈良・学園前で出会ったユニクロはまさしく斬新な倉庫をイメージした今まで見たことがない店舗だった。 ユニクロの創業者・柳井正氏がスタートした実家の紳士服店は私の生まれた街・厚狭の東隣・山口県宇部市にあり、そこを原点に「カジュアルウエアの倉庫」をコンセプトに1984年6月ユニクロ1号店を広島にオープンした。 以降数字から読み解く軌跡と、小売業今後の課題などを記事を元に私の興味意で整理すると、 ・当初は他社から買い集めた服を所狭しと並べたがわずか2年でこれを自己否定、自社で

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  • 「周縁の三国志」 - 厚狭吉亭日乗・神戸残日録

    関尾史郎著「周縁の三国志」東方書店刊を読み終えた。 副題が「非漢族にとっての三国時代」とあり、中国で秦の始皇帝から漢王朝まで約450年続いた統一が瓦解して出現した三国時代、魏(ぎ・曹氏)・蜀(しょく・劉氏)・呉(ご・孫氏)の周辺居住民族と三国の関係を膨大な文献や史書を読み込み論じたものである。 三国は各々の対立関係から周縁(周辺)の勢力との関係強化が基路線であり、周縁の民族種族のなかにも自民族が生き残るためにこれを期待する動きがあった。 NHKBSのドキュメンタリーに「中国秘境 謎の民」というシリーズ番組があり中国周縁の秘境で暮らす少数民族の歴史や暮らしが記録放送され私は欠かさず観ているが、このに書かれる幾つかはその謎の民のルーツと言えるものではないかと思われるれる。 ここで取りあげられている非漢族は烏桓(うがん)、鮮卑(せんぴ)、朝鮮、越族(えつ族)、氐(てい)、倭(わ・日)などだ

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  • ふるさと厚狭・沓(くつ)古墳 - 厚狭吉亭日乗・神戸残日録

    山口県に住む同級生から、山陽小野田市歴史民俗資料館で開催された講演会「山陽小野田の古墳と地域間交流」を聴講したとのことで、その折の資料コピーを送って頂いた。 山口県埋蔵文化財センターの職員の方が講師で、このブログでも何回か書いてきた厚狭の遺跡、長光寺山古墳や妙徳寺山古墳などを取りあげ、出土品や石室内の構造などの共通項から山口県内の他の遺跡と同様に、徐々に九州地域の影響を受けているとの講演骨子である。 山口県はその地理的条件から、現代に至るまで九州や朝鮮半島の色々な影響を受ける土地柄であり、ある意味当然のことかもしれない。 その資料の一部に私にとって懐かしい円墳の「沓古墳」が取りあげられていて、このブログに書かせて貰うことにした。 沓古墳は私の生まれた村・鴨庄の北隣にあり、鴨庄から沓地区へ抜ける道がJR 美祢線と交差する踏み切りの北約100mの田の中にあり、私の子供時代には田畑の耕作により墳

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  • 日本語探偵・「全然」の誤用談義 - 厚狭吉亭日乗・神戸残日録

    月刊雑誌・文藝春秋には日語学者で「三省堂国語辞典」の編集委員でもある飯間浩明(いいまひろあき)さんの短い常設コラム「日語探偵」があり、日語のアレコレを切り出しておられる。 今6月号は『「全然」の誤用談義』と題して、この「全然」がその下に肯定表現を付けることについて書かれてある。例えば「全然良い」という表現の是非である。 私はこのコラムを見るまでは「全然」の下には否定表現を付けるべきと思っていたが、どうやら間違いであったようである。 手元にある広辞苑で「全然」を引いて見ると副詞の場合以下の3種類に分けて書いてあり ①すべての点で。すっかり。 ②(下に打消の言い方や否定的意味の語を伴って)全く。まるで。 ③(俗な用法)(予想や懸念に反して)全く。非常に として確かに②のように否定を前提に使われる場合もあるが①や③のように肯定的表現の前に使う用法もあると書かれている。 日語探偵の調査した

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  • 明治の元勲の愛した味 - 厚狭吉亭日乗・神戸残日録

    明治新政府に出仕した長州出身者で木戸孝允、大村益次郎、広沢真臣などが亡くなった後、長州閥を牽引したのは、伊藤博文、井上馨、山県有朋であったことは衆目の一致するところであり何れも明治天皇から元老として遇された。 (元老は天皇の諮問に応じて総理大臣の推薦や重要国策の決定に参画し明治国家運営の最高指導者の役割を担った) 山口県在住の同級生から送って頂いた郷土史関係の新聞切り抜きの中に、この3人に関係した面白い記事が載っている。その内容は、 「幕末維新グルメ」を味わうとして、下関川棚温泉のホテルで市立歴史博物館の学芸員を勤めていた現観光政策課職員・田中洋一氏が企画監修したイベントが開かれたというニュースである。 余談ながら新聞記事を見て直ぐ思い浮かんだのだが、この田中洋一氏には市立歴史博物館時代に長府藩々祖・毛利秀元についての画期的な著作「毛利秀元拾遺譚(もうりひでもとしゅういたん)ー元就の再来ー

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