■はしがき 古代という言葉は、人々のロマンをかき立てます。社会がさまざまな面で行き詰まりを見せている今、古代の知恵に学ぼうとする人や、古代の素朴な社会に住みよい世の中の手本を求めようとする人も多くいます。 しかし古代の社会の実像がどうであったかを探るのは、大変な困難を伴います。文献資料は数が少ない上に極めて難解ですし、考古資料の発掘も骨の折れる作業です。少ない資料から古代社会の実像や古代人のものの考え方に迫るためには、犯罪捜査にも似た地道で気の遠くなる作業を続けなければなりません。 その上近年は学問が細分化し、業績の数ばかり競わされるような風潮が蔓延していますから、微に入り細をうがった研究論文は山積しているものの、一般の人々をもとりこにするような学術書はなかなか出てこないのが現状です。 一方古代好きが高じた人の中には、自分で研究に手を染めようとする人も多くいます。こうしたアマチュア研究家の