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ブックマーク / nextsociety.blog102.fc2.com (10)

  • 響け!ユーフォニアムは「特別」と「みんな」の物語―吹奏楽の演奏とアニメ制作

    「響け!ユーフォニアム」12話を見て、 作は「特別」と「みんな」の物語であると私は感じた。 今回、それは久美子が「特別になりたい」「上手くなりたい」と泣きながら 自分に訴えかけるように主張したことで決定的になったといえる。 特に橋の上で泣きながら「上手くなりたい」というシーンは、強く心打たれる。 久美子のこのような変化には、 麗奈の「特別」になりたいという姿勢に心打たれたのか。 香織の態度や葵の退部劇の影響もあるのか。 何にしても久美子が吹奏楽部で培った経験によって 「特別」になりたいと思ったのだろう。 何より久美子がユーフォを心から好きだったことに気づいたことに他ならない。 ずっとユーフォをやっていたのも、好きだったという証明なのだろう。 そうした久美子の「特別になりたい」「上手くなりたい」「ユーフォが好き」 という様々な感情が見事に入り混じった久美子を今回は上手く描いていた。 ただ吹

    響け!ユーフォニアムは「特別」と「みんな」の物語―吹奏楽の演奏とアニメ制作
  • 「響け!ユーフォニアム」の魅力はハラハラ感と寸止め感のバランス感覚にある

    「響け!ユーフォニアム」の面白さは、 編中の物語のハラハラ感と寸止めのバランス感覚にあると思う。 「響け!ユーフォニアム」のハラハラ感 ハラハラ感とは何か。 今回10話でいえばオーディションの結果に 一部の部員が疑念を持ってしまい、 吉川優子が高坂麗奈に当たってしまうような ギスギスした展開や人間関係が壊れてしまうような展開が挙げられるだろう。 一触即発。香織が「やめて」と言わなければ、 その後に麗奈が久美子に言ったような愚痴を 麗奈が優子に直接言って、事態はより悪化していたのかもしれない。 こうした緊張感溢れる展開、部活動が部員の人間関係が、 もしかすると壊れてしまうという展開とニュアンスを含みながら 物語が進行していくことが、ハラハラ感に他ならない。 作は必ずしも安全に物語が進まない作りになっている。 何かハプニングが起こることでハラハラ感が生まれるのだ。 あすかの存在もまた面白い

    「響け!ユーフォニアム」の魅力はハラハラ感と寸止め感のバランス感覚にある
  • 「響け!ユーフォニアム」の組織論ー拍手をしない部員達の心理について

    はじめに 「響け!ユーフォニアム」11話で秀逸だったのは、 再オーディション時に、どちらがソロにふさわしいか、 滝先生が演奏後の拍手で決めようと提案したのに、 結局は麗奈と香織のどちらにも拍手をしない部員達の描写。 私は、この部員達の描き方に色々感じてしまった。 拍手をする人、しない人 まず拍手をしないというのは、正しい言い方ではないのかもしれない。 拍手ができなかったという方が正しいのかもしれない。 おそらく多数の部員達が拍手をできなかったのは、 どちらにも与することができないという気持ちが、 部員達の中で支配していたからだろう。 明らかに、両者の演奏後の場の空気や部員の反応を見る限り 麗奈の演奏の方が香織を上回っている事は確かだ。 香織の最大の支持者の優子ですら、麗奈の演奏に観念していた。 だからといって、部員達が麗奈に拍手を送ることをしない。 それは麗奈に与する動機が殆どの部員にはな

    「響け!ユーフォニアム」の組織論ー拍手をしない部員達の心理について
  • 「響け!ユーフォニアム」の高坂麗奈が魅せる「京アニ髪かきあげ」について

    「響け!ユーフォニアム」5話は高坂麗奈さんの絵作りがすごくよかった。 まず、高坂さんのトランペットを吹くシーン。 顔が汗でテカテカした感じで描かれ、 目を見開いて吹くのに一生懸命な感じが出ていて素晴らしい。 後、矢印で示したように、髪の部分を長い色トレスで描いているのが 髪の描き方に効果的なニュアンスを与えていて面白いと思った。 次にここからが編。 部活の帰りに高坂さんと黄前久美子が会話する中で 久美子が先生の事を「かっこいい」と言って反応し、 振り向く高坂さんの表情が素晴らしい。 比較的クールで感情的ではない高坂さんが、 目を大きく開き、驚きの表情を見せる。 編で始めて見せる表情ではないだろうか。 それだけにインパクトあるシーンに仕上がっている。 ※作監修正が半端無く入れているようにも感じる。 そして久美子が話を進めていくうちに、 久美子が高坂さんの地雷を踏んだと思い込み、 高坂さん

    「響け!ユーフォニアム」の高坂麗奈が魅せる「京アニ髪かきあげ」について
  • 京アニ作品のキャラの瞳リストを作ってみた

    「響け!ユーフォニアム」の瞳の配色に興味を持って 以下の二つの記事を書いた。 「響け!ユーフォニアム」の瞳の色の描き方について 「響け!ユーフォニアム」と「中二恋 戀」の瞳の描き方を比べてみた ただユーフォニアムと中二恋だけしか比べないのは、 片手落ちなのもいいところなので、 京アニ作品を集めて瞳のリストを作って、比較したいと思った。 こうして見ると、「響け!ユーフォニアム」の瞳の光沢の配色で 茶系の瞳の色の中に緑色の光沢を入れているのは異色だとわかる。 (※響けユーフォニアム) またこうして瞳を見比べてみると、 京都アニメーションは瞳を透き通るような感じで描いて 瞳の透明感・奥ゆき(立体感)を追求しているようにも感じた。 基的には作品ごとで様々なアプローチをしているとも思った。

    京アニ作品のキャラの瞳リストを作ってみた
  • 「響け!ユーフォニアム」と「中二恋 戀」の瞳の描き方を比べてみた。

    前の記事で「響け!ユーフォニアム」の瞳の色の描き方について というものを書いた。 これは各キャラの瞳の中に使われる光沢の配色について、 瞳にメインで使われている色味とは別に色味がちょいと違う 小さな丸を瞳の真ん中部分に描いているのが面白いという趣旨の記事だ。 では、京都アニメーションの他の作品と比べるとどうなのだろうか。 「響け!ユーフォニアム」の色彩設定の竹田明代さんが以前手がけた 「中二病でも恋がしたい!戀」の1話と比べてみたい。 まず「響け!ユーフォニアム」から。 瞳のメインの色=茶系 瞳の中の小さな丸=緑 瞳のメインの色=青系 瞳の中の小さな丸=ピンク 瞳のメインの色=紫 瞳の中の小さな丸=ピンク 次に「中二病でも恋がしたい!戀」から。 瞳のメインの色=藍色系 瞳の中の小さな丸=小さくて判別しづらい 瞳のメインの色=茶系 瞳の中の小さな丸=ピンク 瞳のメインの色=緑系 瞳の中の小さ

    「響け!ユーフォニアム」と「中二恋 戀」の瞳の描き方を比べてみた。
  • 「響け!ユーフォニアム」の瞳の色の描き方について

    「響け!ユーフォニアム」で気になるのは、 各キャラの瞳の中に使われる光沢の配色だ。 久美子の瞳の色は黄色系と茶色系で構成されているが、 瞳の中に一つ、光沢を表現するような小さい緑色の丸が入っているのが印象的だ。 茶系の中に緑色が入ることで、絵的なアクセントになっている。 ※キャラの瞳の赤丸の中を参照 緑輝は、黄緑色が基調になっているが、ピンク色の小さい丸が入っている。 久美子の旧知の間柄だった葵も、久美子と同じように 緑色が基調な瞳の中に、小さいピンク色の小さな丸が描かれている。 あすかは、水色系が基調な瞳の中に、小さなピンクがある。 麗奈は、紫系の中にピンク色の小さな丸。 よく美少女の瞳の描き方として、瞳の光沢を表現するために 円形に近い形の白色のアクセントを対角的に2つ施す。 上の久美子であれば、こちらから見て瞳の左下と右上にそれぞれ光沢をつけている。 そして「響け!ユーフォニアム」で

    「響け!ユーフォニアム」の瞳の色の描き方について
  • ちょっと前のアニメを見る時の楽しみ方について

    今回は、ちょっと前のアニメを見る時の楽しみ方について。 前に(とはいっても1年ぐらい経っているのだが) 今敏監督の「千年女優」(2002年)を見ていてEDを眺めていたら 制作進行:平尾隆之、とクレジットされていたのを知った。 平尾さんは「千年女優」に関わっていたのかと思いつつ 平尾さんが監督した「空の境界 第五章 矛盾螺旋」(2008年)が、 現実と虚構が螺旋のように入り混じるような演出になったのも 今敏さんの「千年女優」に参加していたからなのかと感じた。 「千年女優」も藤原千代子の過去の半生(現実)と映画の世界(虚構)が 徐々に螺旋のように入り混じる作品であった。 又聞き情報ではあるが、「矛盾螺旋」製作時は 平尾さんが今さんの「千年女優」を意識していたという話を聞いたこともある。 今さんの演出スタイル的なものが、矛盾螺旋という物語を 表現するものとして相性が良かったのだろう。 「千年女優

    ちょっと前のアニメを見る時の楽しみ方について
  • アニメを鑑賞して何が見えているのか、聴こえているのか

    最近、ある方とアニメの音楽について話をしたのだが ある方は「真剣にアニメを見ると、音が入ってこない」みたいな言い方をしていた。 この意見には、結構驚かされた。 それは、私は逆にアニメで自分好みの曲がかかると、 心が動かされ、目が潤んでくるタイプだからだ。 例えば私は「逆襲のシャア」や「ガンダム00」の音楽に弱い。 この話を聞いた時に、人の見方は様々だとはいつも感じていたが、 人の音の聴き方もそれぞれ違うことを実感した。 アニメの見方については、例えば作画崩壊の話題が浮上した時のネットの意見。 またはアクションに興味がある人とない人ををそれぞれ知っていたりするので 見方が人によって違うという実感はあった。 ただ聴こえ方も、よくよく振り返れば、私自身よく聞き間違えたりすることも多く それは聴き方が人と違う(悪い聴き方をしている)という言い方もできるだろう。 アニメを鑑賞しながら、見えているもの

    アニメを鑑賞して何が見えているのか、聴こえているのか
    hundaraban
    hundaraban 2015/01/06
    内容がスッと入ってくるときは劇伴は聴こえていないし、逆に劇伴がよく聴こえるときは内容が入ってこない。
  • 満たされない物語と円環の理-「劇場版魔法少女まどかマギカ」考察

    「劇場版魔法少女まどかマギカ-新編 反逆の物語」を鑑賞。 TVシリーズのまどかマギカに続く新しい物語として面白かった。 TVシリーズではいきつくところまで物語を描いたように感じたが、 映画ではTVシリーズのその先の物語が描けたという点に感動した。 ※ネタバレ要素が多いので、編を未見の方はご注意ください。 暁美ほむらは何に反逆したのか 副題に「反逆の物語」とあるが、反逆したのは暁美ほむら。 反逆する対象は、まず自分自身で作り出した妄想的な閉鎖世界であり、 その次に円環の理と言われる鹿目まどか、 そして鹿目まどかが書き換えたあとの世界だ。 これは暁美ほむらが自分にとっての鹿目まどかを取り戻す戦いでもある。 他のキャラクターが、世界がどうなろうとも、おかまいなし。 そんな暁美ほむらを描くために、 作では円環の理を象徴すると思われる円/円状のモチーフが多用される。 繰り返される円環の理を象徴す

    満たされない物語と円環の理-「劇場版魔法少女まどかマギカ」考察
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