以前勤めていた研究所によくわからない装置が置かれた部屋がいくつかあった。その部屋のひとつに、液体をぐるぐるかき混ぜる装置があった。なんでもその液体の粘性の変化を年単位で計測する実験をしているらしい。 ぐるぐるかき混ぜる装置も、何年かに一度、取り替える必要があるらしく、たまたま、その取り替えの年に機器備品の管理の仕事だったので取替を担当した。 装置の仕様書を提出してもらったり、新しい装置がきちんと取り付けられるか、部屋の入り口や玄関のサイズを計測したり、電源の保守点検を設備屋の人に依頼したりと、地味な実験を継続的に行うためにも意外に手間がかかるものだった。 混ぜられている液体は、揮発する成分があるので、フタを厳重にしてあり、時々フタをあけて特性の変化を計測しているらしかった。ぐるぐる混ぜる程度のことだから素人的には何が変わるんだ?と不思議に思っていた。実験を主管する研究室の人と仲良くなってい
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