なべて世の 哀ればかりを 問ふからに 誓ひしことを 神やいさめん と斎院のお歌が伝えられる。 「そんなことをおとがめになるのですか。 その時代の罪は皆 科戸《しなど》の風に追 ってもらったはずです」 源氏の愛嬌《あいきょう》はこぼれるようであった。 「この御禊《みそぎ》を神は (恋せじとみたらし川にせし 御禊《みそぎ》神は受けずもなりにけるかな) お受けになりませんそうですね」 宣旨は軽く戯談《じょうだん》にしては言っているが、 心の中では非常に気の毒だと源氏に同情していた。 羞恥《しゅうち》深い女王は 次第に奥へ身を引いておしまいになって、 もう宣旨にも言葉をお与えにならない。 「あまりに哀れに自分が見えすぎますから」 と深い歎息《たんそく》をしながら源氏は立ち上がった。 「年が行ってしまうと恥ずかしい目にあうものです。 こんな恋の憔悴《しょうすい》者に せめて話を聞いてやろうという寛大
![【源氏物語626 第20帖 朝顔8】朝顔の姫君に袖にされた源氏。「あまりに哀れに自分が見えすぎますから」と深い歎息《たんそく》をしながら源氏は帰った。女房の宣旨は源氏に同情をした。 - 源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/49dba48f2fa3c4bca72e7efec454f8ec280f892d/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fcdn-ak.f.st-hatena.com%2Fimages%2Ffotolife%2Fs%2Fsyounagon%2F20240316%2F20240316135809.png)