bookに関するhuyukiitoichiのブックマーク (31)

  • メキシコの麻薬カルテルのボスが日本で新たな暴力の集団、闇臓器売買のシステムを作り上げる、ノワール小説の傑作──『テスカトリポカ』 - 基本読書

    テスカトリポカ (角川書店単行) 作者:佐藤 究発売日: 2021/02/19メディア: Kindle版この『テスカトリポカ』は作家・佐藤究の『Ank:a mirroring ape』以来約3年半ぶりの長篇作品。著者がデビュー作『QJKJQ』、『Ank』で打ち立てた高い評判は知っていたんだけれども読み逃していて、著者の長篇を読むのはこれがはじめて。 それが読んでみたら、ここまで凄まじい作家だったのか、と心底驚いてしまった。いや、NOVAに収録された短篇は読んでて、すごい作家なのは知っていたんだけど。どんな話かをざっくりいえば、メキシコの麻薬カルテルに君臨していた男が、対立組織に組織も一族も皆殺しにされ、メキシコを脱出。各地を転々としながら日にたどり着き、そこで新たな臓器売買のシステムと、対立組織への復讐のため”暴力の集団”を作り上げる物語である。カルテル周りの描写は、ドン・ウィンズロウ

    メキシコの麻薬カルテルのボスが日本で新たな暴力の集団、闇臓器売買のシステムを作り上げる、ノワール小説の傑作──『テスカトリポカ』 - 基本読書
  • What Bill Gates thinks you should read this summer

  • なぜ宇宙は弱肉強食なのか──『天冥の標IX PART1──ヒトであるヒトとないヒトと』 - 基本読書

    天冥の標IX PART1──ヒトであるヒトとないヒトと (ハヤカワ文庫) 作者: 小川一水出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/12/18メディア: 文庫この商品を含むブログ (10件) を見る※基は読み終えた人用。読み終えていないヒトは下記を読むように。 huyukiitoichi.hatenadiary.jp 全10部を予定しているシリーズもいよいよ第9部まで至り、宇宙へと散らばった人類、人類外の生物、人類が生み出した知性を持つ生命らが入り乱れ複雑化してきた。生命としての知性としての基礎が異なれば、その生存戦略も動機も大きく異なる。 それらがいかにして育まれ、各勢力の基礎として成長してきたのかを数百数千年に渡って書き継いできたのがこの天冥の標シリーズだったと、一面的には総括してしまってもいいだろう(あまりにも太くしっかりとした複数の軸があり、全てを総括することなど完結して

    なぜ宇宙は弱肉強食なのか──『天冥の標IX PART1──ヒトであるヒトとないヒトと』 - 基本読書
  • 「文明」の土台を知るために──『人類を変えた素晴らしき10の材料』 - HONZ

    を読んでいる時の紙。家で、仕事場で、ショーケースで、どこにでも存在しているガラス窓。口に含むまでは固形物なのに口に入れるとすぐにとろけるチョコレート。構造物の基礎としてあらゆるところに存在している鉄筋コンクリート。身近で日々接しているというのに、あまりにも当たり前に存在しているのでその凄さや来歴を特段意識したりはしないものだ。 コンクリートとはいったいどのような性質を持っていて、どのような歴史を辿ってここまできたのか理解している人は多くないだろう。ガラスは当たり前のように雨風をしのぎそれでいて光を通し部屋を明るくしてくれる特質を持っているが、なぜガラスが透明なのか説明できるだろうか。紙が包装紙から切符、紙幣までさまざまな用途に使えるのはなぜなんだろう。 書『人類を変えた素晴らしき10の材料: その内なる宇宙を探険する』はその書名の通りに、身近に存在している10の材料をメインとして、その

    「文明」の土台を知るために──『人類を変えた素晴らしき10の材料』 - HONZ
    huyukiitoichi
    huyukiitoichi 2015/09/28
    HONZ更新されております。ビル・ゲイツも絶賛したとか。ビル・ゲイツはすぐに絶賛するが、面白いですよ。
  • 『印刷という革命 ルネサンスの本と日常生活』初期近代印刷文化の興亡と万有書誌の夢 - HONZ

    ここに翻訳をお届けする『印刷という革命──ルネサンスのと日常生活』は、西欧印刷史の泰斗アンドルー・ペティグリーが満を持して2010年に世に問うた、実にスリリングな初期近代メディア文化史の傑作である。 原著で400ページを超えるその浩瀚なヴォリュームと射程の広さ、扱うトピックの目くるめく多様性にもかかわらず、原題は『ルネサンスにおける』(The Book in the Renaissance)と意外なほどシンプルで、そのややもするとぶっきらぼうにも見える骨太な表題のうちに、著者の自信のほどがうかがえる魅惑の一冊だ。邦題の選定にあたっては、そのあたりの含みをうまく伝えられないものかと苦心したが、結局は書の内容を要約した『印刷という革命』に落ち着いた。 ペティグリーは現在、イギリスのセント・アンドルーズ大学歴史学講座で教鞭をとる気鋭

    『印刷という革命 ルネサンスの本と日常生活』初期近代印刷文化の興亡と万有書誌の夢 - HONZ
    huyukiitoichi
    huyukiitoichi 2015/09/13
    これを読みたいのだけど、5000円だとさすがに躊躇してしまう。3000円あたりがノータイムで買うかどうかの分水嶺だ
  • SF作品の同人誌・約1万点がデジタル化されて誰でも無料で閲覧可能に

    SF小説好きによる小説好きのための同人誌(fanzine・ファン雑誌)を1万冊以上所蔵しているアイオワ大学が、雑誌の紙面が傷んでしまう前に内容を保存するべく、収集したファン雑誌をデジタルアーカイブ化して誰でも無料で見られるようにウェブ上で公開しています。 Hevelin Collection http://hevelincollection.tumblr.com/ 10,000 zines and counting: a library's quest to save the history of fandom | The Verge http://www.theverge.com/2015/9/4/9257455/university-iowa-fanzine-fan-culture-preservation-project アイオワ大学図書館は約100年前からファン雑誌を収集しており、

    SF作品の同人誌・約1万点がデジタル化されて誰でも無料で閲覧可能に
  • 一人では不可能だった、ワクワクするカオスを生み出すこと『世界の辺境とハードボイルド室町時代』 - HONZ

    対談はこの世に数多く出ているが、質的にはピンからキリまで玉石混交なジャンルである。最悪のケースとしては、忙しくて文章を書いている暇もない人気の著者や著名人を組み合わせて、その場で即興の言葉を拝借する。お互いのことをよく知らないまま表層的な会話に終始し、それっぽいまとめがあって終わってしまい、読後には釈然としない気持ちが残ることになる。 いやなに全ての対談がそのような粗製乱造された、低コストで売れる──であると言っているわけではない。何を隠そう書『世界の辺境とハードボイルド室町時代』も対談である。もちろん書の場合、「お手軽に売れるをつくりましょうぜグヘヘ」などという経緯を辿っていない(そんな経緯は書に限らずどこにもないと思われるが)。 それではどのような経緯があったのかといえば、書『世界の辺境とハードボイルド室町時代』は、たまたま編集者が同席した場でノンフィクション作家であ

    一人では不可能だった、ワクワクするカオスを生み出すこと『世界の辺境とハードボイルド室町時代』 - HONZ
    huyukiitoichi
    huyukiitoichi 2015/09/05
    HONZ更新されております。高野秀行さんと清水克行さんの対談本。両者の良いところを引き出し、予測不能な話題が入り乱れる対談本の醍醐味が詰まった本だ。
  • 「懐かしむ」のではなく「その先」をしめすために──『伊藤計劃トリビュート』 - 基本読書

    伊藤計劃トリビュート (ハヤカワ文庫JA) 作者: 王城夕紀,柴田勝家,仁木稔,長谷敏司,伴名練,藤井太洋,伏見完,吉上亮,早川書房編集部出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/08/21メディア: 文庫この商品を含むブログ (3件) を見る書『伊藤計劃トリビュート』を読んでいて実感したのはいまの日SFシーンは6年前よりも面白い、ということだった。それは6年前がつまらなかったとかいうネガティブな話ではなく、シーンを担うべき新鋭が次々と現れ、よりその分量と幅をまし、日SFがその多様な窓口と質的な深さを獲得した結果であろうと思う。そうした日SFの現状を押し詰めたように、「いま」の面白さだけではなく、「未来」に向かって面白さが増していくに違いないと確信させる「期待」まで書には詰め込まれている。 それは書執筆陣と中編の並び順を見てみるとよくわかる。藤井太洋、伏見完、柴田勝家、吉

    「懐かしむ」のではなく「その先」をしめすために──『伊藤計劃トリビュート』 - 基本読書
  • 一つを極めれば、他は自ずと理解できる『習得への情熱―チェスから武術へ―:上達するための、僕の意識的学習法』 - HONZ

    一つを極めれば、他は自ずと理解できる『習得への情熱―チェスから武術へ―:上達するための、僕の意識的学習法』 趣味でも仕事でもいい。 長く一つのことを継続的に行なっていると、そこで覚えた技術、感覚、発想などがよく似た別の分野や、あるいはまったく異なる場面でも「応用」できることに気がついたことがないだろうか。 自分の例を出せば、長年レビューを書いてきた経験が、職であるWebプログラムの問題解決や、設計思想に影響を与え、逆にプログラムを学んだことがレビューで情報をどのように整理し、展開すべきなのかのヒントにもなることが何度もあった。これまではそうしたショートカットを「ラッキィ」という程度にしか捉えていなかったが、書を読むとそうした「ラッキィ」な状態を意図的に引き起こすことができるのだと理解できるようになった。 書『習得への情熱』は、かつて映画『ボビー・フィッシャーを探して』のモデルとなり、

    一つを極めれば、他は自ずと理解できる『習得への情熱―チェスから武術へ―:上達するための、僕の意識的学習法』 - HONZ
    huyukiitoichi
    huyukiitoichi 2015/08/25
    HONZ更新されましたー。これは面白かった。
  • いま、目の前で変わりつつある歴史──『双生児』 by クリストファー・プリースト - 基本読書

    双生児(上) (ハヤカワ文庫FT) 作者: クリストファー・プリースト,古沢嘉通出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/08/21メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る双生児(下) (ハヤカワ文庫FT) 作者: クリストファー・プリースト,古沢嘉通出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/08/21メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見るクリストファー・プリーストの代表作ともいえる作品が上下巻の文庫で登場。主にファンタジー作品を出しているハヤカワ文庫FTから出ているが、ハヤカワ内でもどこが出すのかは難しい問題だったのではなかろうか。ハヤカワ文庫NVで出そうが、ハヤカワ文庫SFで出そうが、ハヤカワ・ミステリは微妙かもしれないが、とにかくジャンル越境的な──というよりかは、ジャンル小説的に「わかりやすい」書き方をあえて拒否した結果生まれた作品だろう。

    いま、目の前で変わりつつある歴史──『双生児』 by クリストファー・プリースト - 基本読書
  • あなたたちは地球に縛り付けられている──『動きの悪魔』 by ステファン・グラビンスキ - 基本読書

    動きの悪魔 作者: ステファングラビンスキ,Stefan Grabi´nski,芝田文乃出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 2015/07/27メディア: 単行この商品を含むブログ (1件) を見るポーランド作家の鉄道怪奇譚集という不可思議な題材の短篇集である。怪奇譚集はともかくとして、なぜ題材が鉄道に限定されているのか──? 鉄道オタクしか楽しめない作品なのかもなあ──と多少困惑しながらも読み進めてみれば、この物語群において語られていく汽車とは単なる無機的な、人間をA地点からB地点へと運ぶことを目的としたツールにあらず、鑑賞し楽しむようなフォルムとしての汽車を超越し汽車・鉄道を抽象化した「概念」それ自体となっている。 時には「直線的な動きをもたらすもの」というところまで極度に抽象化され、それはまるで一個の多様な可能性を内包した有機的生命体であるかのように物語を貫いて疾走していく。並

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  • 時は遁走し、すべては過ぎ去っていく──『タタール人の砂漠』 by ディーノ・ブッツァーティ - 基本読書

    タタール人の砂漠 (岩波文庫) 作者: ブッツァーティ,脇功出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2013/04/17メディア: 文庫この商品を含むブログ (22件) を見るまるで人生そのものの時の移ろいを小説へと移し変えたような作品だ。ぼんやりとしているとあっという間に時は遁走し、過ぎ去っていってしまう。一度去っていったものは決して返ってくることはなく、ただ懐かしむことしかできない。 書『タタール人の砂漠』はイタリア人の著者ディーノ・ブッツァーティによる長編小説作品。イタリアの文学作家としてはイタロ・カルヴィーノと並んで評されることも多い作家の代表作だ。物語の主人公ジョヴァンニ・ドローゴは、若くして、町から遠く離れ娯楽もない辺境の国境警備職をあてがわれる。目の前に広がる砂漠からはいつか敵が来襲するかもしれないと言われているが、その兆候は微塵もなく「備え」である彼らは無為に砂漠を見続ける

    時は遁走し、すべては過ぎ去っていく──『タタール人の砂漠』 by ディーノ・ブッツァーティ - 基本読書
  • ソシャゲ☓仮想通貨☓世界征服──『世界創造株式会社 1』 by 至道流星 - 基本読書

    世界創造株式会社 1 (星海社FICTIONS) 作者: 至道流星,はしま出版社/メーカー: 講談社発売日: 2015/08/18メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る 至道流星という作家が何を書いてきたのか huyukiitoichi.hatenadiary.jp 『羽月莉音の帝国』の至道流星最新シリーズ。僕はこの人の作品は現状全て読んでいるぐらいのファンではあるが、実をいうと『羽月莉音の帝国』を超えたシリーズは一作もないと思っている。政治アイドルを掛け算し日政治を世界水準まで引き上げようとする変革を描いた『大日サムライガール』、極道の世界を描きながら世界への復讐譚となる予定だった『東京より憎しみをこめて』、宗教ビジネスを描こうとした『好敵手オンリーワン』など様々に手を広げながらも、どれもどこか弱点がある。 大日サムライガールは最初はアイドルという宣伝広告

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  • 伝える、ただそれだけの難しさ──『王とサーカス』 by 米澤穂信 - 基本読書

    王とサーカス 作者: 米澤穂信出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2015/07/29メディア: 単行この商品を含むブログ (2件) を見る「事実」というと、それは目の前にあることなんだから確認するのは簡単だろうとおもいきや実際にはなかなか難しいこともある。そりゃもちろん今日何回トイレにいっただとか、自分が何歳だとかいった「事実」は簡単にわかるところではあるが、ちょっと複雑性が増すと──たとえば事件報道なんかになると途端に「何が事実なのか」を確認するハードルは跳ね上がる。殺人事件が起こった時、犯人の動機はもっともらしく飾り立てられるがそれがどこまで「事実」なのかいったい誰に判定できるというのか。わかりやすく誰もが納得する筋道の通った理屈なんか通らないこと/相反する事態が同居して矛盾状態になっていることもけっこうである。 王とサーカス 書『王とサーカス』は実際の事件として起こったネパ

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  • スチームパンク×時間SF──『ねじまき男と機械の心』 by マーク・ホダー - 基本読書

    ねじまき男と機械の心〈上〉 (大英帝国蒸気奇譚2) (創元海外SF叢書) 作者: マーク・ホダー,緒賀岳志,金子司出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2015/07/29メディア: 単行この商品を含むブログ (4件) を見るねじまき男と機械の心〈下〉 (大英帝国蒸気奇譚2) (創元海外SF叢書) 作者: マーク・ホダー,緒賀岳志,北原尚彦,金子司出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2015/07/29メディア: 単行この商品を含むブログ (4件) を見る優生学者が途方もない大きさまで育てた乗り物用のヤスデ、伝令用の犬、言葉を覚えて伝えるインコと異形の群れが跳梁跋扈する、我々のよく知る歴史とは決定的に分岐してしまっている19世紀のロンドンが舞台となる<<大英帝国蒸気奇譚>>シリーズの第二弾が書『ねじまき男と機械の心』になる。一作目は同じく上下巻で『バネ足ジャックと時空の罠』があ

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  • 新しい時代の技術と格差論──『ザ・セカンド・マシン・エイジ』 - HONZ

    新しい技術が出現し既存の労働・雇用状況が変化していくと決まって「技術が労働者を駆逐する」「いや、ラッダイト運動の頃の例からわかるように労働者は別の仕事をするようになるだけだ」という議論が巻き起こる。確かに状況だけみると幾度もの技術革新を得ながらも我々は日々の労働から解放されてなどおらず、概ね嫌だ嫌だと言いながら仕事へ向かい、かつてはなかったが今は存在する仕事をするようになっただけのようにもみえる。 しかし当にそうだろうか。TOHOシネマズはチケットの発券を無人化し、一部図書館の貸出、返却、予約したの受け取りまでをすべて無人化するなど単純なサービスはどんどんシステムに置き換えられている。その仕事をしていた人間は別の仕事・もっと高度な複雑な仕事へとうつったのだろう。だが人間しかできなかったはずの「高度な仕事・複雑な仕事」が今後はロボットの性能が上がり、人工知能が発達し、徐々に駆逐されて

    新しい時代の技術と格差論──『ザ・セカンド・マシン・エイジ』 - HONZ
    huyukiitoichi
    huyukiitoichi 2015/08/05
    更新されておりますー。『機械との競争』のコンビが送る一冊。
  • 少人数ゆえの自由と制約──『”ひとり出版社”という働きかた』 - 基本読書

    “ひとり出版社”という働きかた 作者: 西山雅子出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2015/07/24メディア: 単行この商品を含むブログを見るただでさえ出版業界全体の売上が年々減っていっている状況下であえて”ひとり出版社”を貫く出版人へのインタビュー集+幾つかのコラム・エッセイにて構成されているのが書『”ひとり出版社”という働きかた』だ。正直言ってこのご時世に出版業界を目指す時点でなかなかのチャレンジャーであるというのに、その中でたった一人で立ち向かわんとするのだから余程クレイジーか稀代の戦略家か、あるいは熱意のある人間か、だろう。書にはだいたいどのパターンも揃っているように思える(熱意☓クレイジー、クレイジー☓戦略家☓熱意 などなど含め。というか、熱意のない人なんかいなかったね) 目次代わりに取り上げられている出版社のとインタビューに答えられている代表者の方をリストアップ

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  • アレルギーはなぜ増えているのか──『失われてゆく、我々の内なる細菌』 by マーティン・J・ブレイザー - 基本読書

    失われてゆく、我々の内なる細菌 作者: マーティン・J・ブレイザー,山太郎出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2015/07/02メディア: 単行この商品を含むブログを見るツイッタを眺めていると時々「むかしはアレルギーの人間がいなかったのは……わかるな?」みたいな、「アレルギーの人間は死んだからだよ」的な答えを誘発させようとする内容のツイートが流れてくる(実際、そう理解している人を何人もみた)。でも実際、アレルギーって現代病なんだよね。ピーナッツ・アレルギーは今や50人に1人の割合で存在しているが、1997年から2008年にかけてピーナッツ・アレルギーと診断された子どもの割合は3倍に増加した。 確かにアレルギーや喘息が昔は少なかったというと、今これだけありふれているのだから少し違和感があるのはわかる。それでも、それが現状であり、つまるところそこにはなにか理由があるのではないかと推測

    アレルギーはなぜ増えているのか──『失われてゆく、我々の内なる細菌』 by マーティン・J・ブレイザー - 基本読書
  • SFまで10000光年 by 水玉螢之丞 - 基本読書

    SFまで10000光年 作者: 水玉螢之丞出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/07/23メディア: 単行この商品を含むブログ (4件) を見る絵と手書き文字で彩られたページはいつも独特な雰囲気を漂わせ、当たり前のようにそこにあったのでこの先もずっとあるものだと思い込んでしまっていたが、終わるときは終わってしまう。書『SFまで10000光年』は昨年の12月13日に亡くなられた(解説、大森望さんの言葉を借りれば「最大公約数的には、たぶん、イラストレーターということになるだろう」)水玉螢之丞さんの、同名のSFマガジンでの連載をまとめたコミック・エッセイのような作品である。1993年1月号から一旦の区切りと成る2002年12月号までが納められている。SFマガジンではその後、2003年から『SFまで100000光年』と名前を変えて、亡くなる直前まで連載を続けていた。cakes.mu

    SFまで10000光年 by 水玉螢之丞 - 基本読書
  • わたしたちの世界は、わたしたち自身だ『生まれながらのサイボーグ: 心・テクノロジー・知能の未来』 - HONZ

    作者:アンディ・クラーク 翻訳:呉羽 真、久木田 水生、西尾 香苗 出版社:春秋社 発売日:2015-07-24 「サイボーグ」といえばまず真っ先に、義体が当たり前になった近未来世界を描く攻殻機動隊シリーズや、そのままずばりタイトルに入っている石ノ森章太郎原作の『サイボーグ009』シリーズに代表されるイメージを思い浮かべる人が多いかもしれない。その特徴を一つ上げるならば、生身の人間ではなく一部だったり全体だったりが機械の身体に置き換わっていることだろう。 書が提示するサイボーグ観 ところが書が提示するサイボーグ観はアニメ・漫画的な「身体のどこかが機械に置き換わったもの」とは大きく異なっている。そもそも、元々「サイボーグ」が意味するところは、「サイバネティックな有機体」あるいは「サイバネティックな方法でコントロールされた有機体」を表す略語であり、『それは、人間─機械間の融合という考え方と

    わたしたちの世界は、わたしたち自身だ『生まれながらのサイボーグ: 心・テクノロジー・知能の未来』 - HONZ
    huyukiitoichi
    huyukiitoichi 2015/07/25
    HONZ更新されておりますー。「紹介したい本がないから今回はパス」と思っていたら昨日出たこれが面白かった。