結局受賞は逃したものの、伊藤詩織さんの映画『Black Box Diaries』は、米アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞に日本人の監督作品として初めてノミネートされたという世界的評価を得た作品だ。しかも、海外では数々の賞を受賞し、上映や配信もなされているにもかかわらず、日本では公開の目途も立っていないという、極めて異例の現実に直面している。 2024年10月に続いて、先日2月20日にも外国特派員協会で、伊藤さんと一緒に裁判を闘ってきた旧弁護団がこのままでの映画公開は人権侵害にあたるという、これまた異例の記者会見を行い、それ以降、ネットを中心に、激しい議論が交わされている。 この一連の経緯や、問題とされている事柄は、ドキュメンタリー映画の本質に関わる、とても深刻で重要な意味を持っている。 2月20日には、午前中に旧弁護団が会見を行った後、午後に予定されていた伊藤詩織さんの会見は、体調不良で急
