ある硬派な歴史ゲームで、2人に相撲を取らせると、信玄が「ああ、このままずっとがっぷり四つでお主といられれば・・・」と呻き、昌信も「・・・もう昌信はとろけそうなほど殿にまいっております」と囁くようなシーンがある。このやりとりを見たプレイヤーたちが、「あ」と何かを察する顔で黙ってしまうというぐらい有名な関係とされている。 まずは、この時代の男性同士の性的関係を指す「男色」という言葉について、簡単に説明しておきたい。まず男色は「なんしょく」と読む。「だんしょく」ではない。同種の意味を指す「衆道」も「しゅうどう」ではなく、「しゅどう」と読んでほしい。 そして男色は、今日でいう「同性愛」ではない。こう言うと一部からお叱りを受けることもあるが、男色や衆道は、対等な男性同士の恋愛ではなく、年長の男性が、年少の男子を愛玩する肉体の関係だった。 少なくとも中世の武家社会において、成人男性同士の恋愛はほとんど