金正日死後の北朝鮮で深刻な権力闘争が発生せず、金正恩を冠にした集団指導体制ができても、あの国で社会的混乱が生じる可能性は排除されない。金正恩のカリスマ性は不十分なので社会統制が弛(し)緩(かん)する。そうなると工場や商店などで横流しや横領が拡大し、歯止めがかけられなくなる。これに天候不順が加われば経済状況が急速に悪化し経済難民の発生も想定される。 ここで懸念されるのが弾道ミサイルや核などの大量破壊兵器開発に従事している研究者や技師が北朝鮮から出国することだ。一部の中東諸国は、北朝鮮が持つ大量破壊兵器技術を喉から手が出るほど欲しがっている。核物質、弾道ミサイルのようなモノならば北朝鮮からの流出を監視することはそれほど難しくないが、大量破壊兵器開発のノウハウをもつヒトの流出を完全に防ぐことは不可能だ。 研究者や技師は典型的なテクノクラートでチュチェ(主体)思想や先軍思想といった荒唐無稽なイデオ