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ブックマーク / www.newsweekjapan.jp/column (5)

  • ものづくり信仰が日本企業をダメにする

    今週のコラムニスト:レジス・アルノー 〔4月29日/5月6日号掲載〕 ものづくり。日でこの言葉を聞かない日はない。テレビでも新聞でもラジオでも、日人は何かを職人芸的につくり上げる自分たちの能力を自賛する。 当然かもしれない。弁当箱から名刺入れ、半導体に自動車まで、日人は優れたものを異常に低い欠陥率で大量生産する驚くべき能力があるようだ(何百人もの踊り手が一糸乱れずに踊る阿波踊りは、その能力の文化面での表れだ)。 こうした日の工業製品の長所は世界中で認められていて、日ブランドの信頼性を高めている。特に安全性が重視される製品(自動車や、もしかすると次世代の発電所や飛行機)ではそうだろう。 「中国では日製エレベーターがよく使われている。中国人は日製品を信頼していて、日のエレベーターなら命を預けていいと思っている」と、香港の投資会社CLSAのアナリスト、クリスチャン・ディンウディー

  • グレーゾーンvsグレーゾーン:それがこの国?

    2月の「人々はスマホに自分の運命を賭け始めた?」でわたしが興奮丸出しでご紹介した、「アリババ vs テンセント」という2大ネット企業のオンライン支払いサービス合戦は、あれからまだ1ヶ月あまりしか経っていないのに、さらにまた別の局面に入った。 一応報告しておく。前回の記事では「阿里巴巴 Alibaba」(以下、アリババ)が展開する財テクサービス(「余額宝」)を「サービス開始からわずか7ヶ月余りで4900万ユーザー、2500億元(約4兆2千億円)を集めた」という1月時の統計でご紹介したが、3月中旬に明らかになったところによると、余額宝の規模はすでに「ユーザー数8100万人、調達額は5400億元超(約9兆円)」に達したという。お陰でこの余額宝の財テクサービスを一手に引き受けている天弘基金管理有限公司は、あっという間に中国の業界トップに躍り出たそうだ。 これを「恐るべし、中国のバブル」と形容する人

  • 政治家を育てる質問

    12月16日の衆議院選挙投票日。テレビ東京の開票特番「池上彰の総選挙ライブ」を担当しました。 放送中から思わぬ反響をいただき、テレビ東京にはいまも再放送やDVDの発売を求める声が寄せられているそうです。 テレビ東京の人たちはもちろんのこと、外部スタッフが総力を挙げて制作・放送したものですから、当然の評価とはいえ、その一翼を担った私も嬉しく思います。 いつも「いい質問ですね」が口癖の私としては、視聴者に「いい質問ですね」と言ってもらえる内容を目指したからです。 ただ、党首や候補者への私のインタビューは、ジャーナリストとして当然のことをしたまでで、これに関する評価は面映ゆいものがあります。 というのも、たとえばアメリカテレビ政治番組なら、政治家に対しての容赦ない切り込み、突っ込みは当然のことだからです。 日なら「失礼な質問」に当たるようなことでも、平然として質問をしますし、質問を受けた側

  • 「iPad3」の正体とアップルの危うさ

    iPadの新しいモデルが3月7日に発表されるという。 最新のうわさによると、その名前は「iPad3」ではなくて、「iPad HD」。ハイデフィニション(高画質)のHDだ。何でも、2048×768の超高解像度のスクリーンを搭載しているらしく、今でもクリアーなスクリーンの、さらにその上がまだあったのかという驚きを与える予定だという。 だがそれより驚くのは、アップルはとうとうiPadまで毎年のように新モデルを発売することになってしまったということだ。iPhoneでは、ほぼ1年に1回のスピードで新モデルを発売してきた。ファンがひと休みする暇もないほど、矢継ぎ早に刺激を与えてきたという感じだ。旧モデルの売り上げが何となく横ばい、あるいは下降気味になったタイミングですかさず次のモデルを出すのは、市場にカンフル剤を打ち続けるようなものだ。この手で、昨年10~12月期だけで3700万台のiPhoneを売り

    「iPad3」の正体とアップルの危うさ
  • 「イタリア化」する日本

    辞めそうで辞めない首相が国民をいらだたせているが、人はいたって意気軒昂・・・といっても日のことではない。イタリアのベルルスコーニ首相は、収賄、詐欺、未成年者との売春などの容疑で十数回も訴訟を起こされているが、3度にわたって合計8年半も政権の座にある。これは戦後のイタリアでは最長記録で、イタリアは彼以外の首相が短命なことでもよく知られている。菅氏は戦後26人目だが、ベルルスコーニ氏は38人目だ。 共通点は他にもある。2000年代の実質経済成長率は、OECD諸国の中でイタリアが最下位で、日は下から2番目だ。政府債務のGDP(国内総生産)比は、日が最大でイタリアは第2位である。こういう状況になっても政府は問題の先送りを続け、いっこうに財政再建が進まないのも同じだ。 この原因も似ている。労働生産性はG7諸国の中でイタリアが最低で、日は下から2番目だ。労働市場が硬直的で解雇が事実上できず、

    「イタリア化」する日本
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