正月の連休中に映画『ゼロ・グラビティ』を観た。キャストがサンドラ・ブロックとジョージ・クルーニーの二人だけという異色のSF映画で、宇宙空間のリアルな映像と共に描かれていたのは、人間の生命力だった。 『人はなぜ逃げおくれるのか』は、広瀬弘忠教授による災害心理学の本。ここに書かれているのは、阪神淡路大震災やニューヨーク大停電など、実際に起こった災害での人間心理だが、映画『ゼロ・グラビティ』のような宇宙空間の事故にも当てはまる。 ここからは映画のネタバレがあるので、気になる方は、四角で囲った本の引用部分だけを読んで頂きたい。 正常性バイアス 『ゼロ・グラビティ』の冒頭。宇宙船の外で通信機器を修理していたサンドラ・ブロックは、衛星の破片が飛来するという警告があったにも関わらず避難しなかった。宇宙の静寂の中で、危険を実感する事ができなかったのだ。 私たちの心は、予期せぬ異常や危険に対して、ある程度、