8月も国際ニュースがにぎやかだ。ウクライナをめぐる緊張は続き、イラクでの軍事情勢は激化し、南シナ海で中国の発する不協和音も基本的に鳴りやまない。これらはすべて、イラクで空爆したとはいえ、米国の覇権力が衰え、それまで押さえ込まれていた民族・宗教・領土にかかる土着紛争が一気に噴出しているもので、対立構図はいずれも、既存の“国際秩序維持”に対する“歴史認識強調”の争いの形を取っている。 ウクライナ問題では、クリミアは歴史的に自国領土だったとロシアが主張。イスラム教スンニ派過激組織は、シリアとイラクの国境をまたぐ、同一宗教に基づく民族国家の独立を訴える。要は、尖閣や竹島にも関連し、中国や韓国から日本が散々浴びせられた「歴史認識を改めよ」との声を、欧米諸国も、場所や主張者こそ違え、身に浴びせられ始めたというわけだ。