手短に実験してみると、スライムが理解できるのは「攻撃」「防御」「逃走」「追従」「待機」の5命令であった。俺たちはこれを「コマンド」と呼んで、スライムの制御に応用した。 とりあえずは「追従」だね。俺たちに付いて来て頂戴。 先ずは第1層の巡回である。 今回のダンジョン・アタックは討伐が目的だ。だが、「いつまで」と期限を切られたわけではない。 いきなりスタンピードが発生するわけではなし。ゆっくり時間を掛けて、ダンジョンという物を学習しながら進もうという方針を、俺たちは立てたのだ。 食料と水はしこたま持ち込んである。飲み食いするのは俺とトビーだけなので、消費量は非常に少ない。 1カ月程度は楽に過ごせるだろう。 安全のためアルコールは自重した。俺はTPOのわかる子です。 ちょっと残念だけど。 分岐路のすべて、部屋という部屋を確認しながら俺たちは進んだ。 こういう時アリスさんの情報処理能力が役に立つ。