聖母道 Thánh Mẫu Đạo 聖母道は、中国から伝わった道教と、万物に霊魂の存在を認めるアニミズムに基づいた、19世紀頃発展したベトナム独自の信仰です。聖母道の神々は府という世界に住み、府を統括するのが玉皇上帝です。府には、天・地・水の三府があります。これは中国の道教神である天官・地官・水官の思想がベトナムで受容され拡大したものです。さらに三という数字を好まないベトナムで山岳・高原・森林を象徴する岳府が加わり、四府として信仰されています。四府を支配するのは聖母または公主と呼ばれる女神で、それぞれ柳杏聖母または上天聖母(天を司る)・地仙聖母(地を司る)・水宮聖母(水を司る)・上岸聖母(山岳を司る)といいます。その下に、五位大官・四位朝婆・十位皇子・舅・姑・五虎神官・白蛇神などの眷属(配下)が連なります。レンドンというシャーマニズムの儀式によって、これらの神々が霊媒に乗り移り、予言