映画の歴史について語るとき、最初に必ずと言って良いほど登場してくるのがリュミエール兄弟『工場の出口』と『ラ・シオタ駅への列車の到着』の二作である。では、「揺動映画史」なるものを書いてみようとしたときに、この二作に匹敵するフィルムが存在するだろうか。つい最近、わたしはこの問いに即答できると思えるようなフィルムに出会った。インドシナで1900年に撮影された『ナモ村落:駕篭から撮影されたパノラマ』(Le Village de Namo : Panorama pris d'une chaise à porteurs)である。 Namo Village, Panorama Taken from a Rickshaw ... この映画では、移動する駕篭に設置されたカメラが、それを追いかける子供たちをはじめとするナモ村落の人びとの姿を捉えており、世界ではじめてトラックバック撮影(カメラが被写体から遠ざか