理系のための文章読本といえば、『理科系の作文技術』が定番です。1981年初版の本ですが、毎年4月が近づくと、どこかしらの書店でピックアップされています。きっと、この本も同じように扱われるのではないか、と、そんな感じを受けました。 タイトルに数学と入っており、例示の文章も数式混じりのものが多いですが、実際は「わかりやすい説明文の書き方」を解説した本と言えるでしょう。 内容は『理科系の作文技術』と重なっている部分もありますが、本書の方が圧倒的にシンプルです。このシンプルは、単純という語感ではなく、何度もフィルターを通して濾過したような純粋さに近いイメージです。二冊を比べてみると、『理科系〜』はエッセイ的な要素が強い印象を受けました。多少の混ざり物がある雰囲気です。 ※そういう「濁り酒」な本が好みな方もいるでしょうから、どちらが良いのかは一概には言えません。 また、この二冊は対象範囲の広さも違い