欧州債務危機が11月30日、不吉な方向転換を見せた。ギリシャとアイルランドを飲み込み、次はポルトガルとスペインを襲おうかという勢いの渦巻きが、イタリアをも引き寄せ始めたのである。 イタリアの10年物国債の利回りは5%に近づきつつある。投資家がイタリア国債の取得にあたって要求するプレミアム(同じ年限のドイツ国債との利回り格差)は、1999年のユーロ導入以来初めて2%台に乗った。 イタリアは来年にかけて3000億ユーロ近い公的債務を償還する予定であり、こうした市場の動きは欧州通貨同盟の将来を脅かす危険性をはらんでいる。 イタリアの安定に欠かせない有能な財務相 市場はイタリアの強さを無視しているとローマの政府当局は不満を露わにしているが、それももっともな話である。確かにイタリアの公的債務は非常に多く、その額は今年、国内総生産(GDP)の118.5%相当に達する見通しだ。 しかし、その大部分は国内