カメラから届いた写真データを最初に開いた瞬間、今村氏は「雄叫びをあげてメンバーとハイタッチした」という。「十何年かけて準備し、手塩にかけた観測装置の視野いっぱいに、どうしても撮りたかったものが写って、うれしくてしょうがなかった。着いたな、という実感がようやくそこでわいてきた」 JAXAは、3台のカメラでとらえた写真を1枚ずつ公開した。波長0.9μメートルの近赤外域で撮影した「1μmカメラ」による写真は、白く光る金星をとらえている。波長283ナノメートルの紫外域で撮影した「紫外イメージャ」による写真には、硫酸の雲の生成にかかわる化学物質の分布がとらえられている。それぞれ、金星をとらえた写真として世界最高レベルの解像度という。 金星の雲の温度分布をとらえた「中間赤外カメラ」による写真には、赤道域をまたいで北半球から南半球まで弓のような模様が写っている。「このようなものが見えることは想像もしてい