海と陸地を遮断する巨大な構造物。その横を大型ダンプが行き交う————。太平洋側の海辺に行くと、いま、あちこちでそんな光景が目に入る。「東日本大震災のような津波被害を二度と起こさないために」という防潮堤の建設現場だ。もっとも、巨大なコンクリートの壁が姿を現すにつれ、住民の戸惑いも広がってきた。海の眺望が消え、風景は一変し、まちの将来にも大きな影響を与えかねないからだ。防災か景観か、万が一の備えか日々の暮らしか。防潮堤の建設や計画が進むいくつかの海辺を訪ねた。まずは、静岡県の伊豆半島から。(笹島康仁/Yahoo!ニュース 特集編集部) 伊豆半島の先端近くに位置する静岡県松崎町。5月下旬の早朝、松崎漁港に足を運ぶと、地元の関典二郎さん(75)が仲間の釣りを眺めていた。内閣府の予想では、南海トラフ巨大地震が起きると、この町は最大で高さ15メートルの津波に襲われる。防潮堤について尋ねると、向こうを指
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