□経団連21世紀政策研究所研究主幹・澤昭裕 5月21日、大飯原発運転差し止め請求に対し福井地裁から原告請求認容の判決が言い渡された。この判決には多くの問題がある。 ≪専門技術知識欠いた判断≫ 第一に論理の乱暴さである。判決は、「(新しい)技術の危険性の性質やそのもたらす被害の大きさが判明している場合には、技術の実施に当たっては危険の性質と被害の大きさに応じた安全性が求められることになるから、この安全性が保持されているかの判断をすればよいだけ」とし、危険性を一定程度、容認しないと社会の発展が妨げられるのではないかという議論を切り捨てている。 だが、まさにその「危険の性質と被害の大きさに応じた安全性」を確保するため原子炉等規制法が改正され、福島第1原発事故の反省に立って規制基準を厳格化したうえで原子力規制委員会が新基準適合性を審査しているのだ。 判決は「人格権」の保護という法理から裁判所は直接