新型コロナウイルスのまん延をきっかけに、マスクやトイレットペーパー、一部の食料品などが品薄となり、大きな社会問題となっています。日本だけでなく、香港、シンガポール、イタリアなど世界各国で人々がスーパーや薬局に押し寄せ、買い占め騒動が起こりました。急速に新型コロナウイルスの感染が拡大している米国では、銃弾の買い占めも起こっていると報道されています。 感染症対策としてにわかに需要が増えたマスクが不足するのは理解できますが、消費量が大きく変化するとは思えない日用品や食料品が、なぜ品切れになってしまうのでしょうか。本稿では、経済学者である筆者が専門とするゲーム理論の「協調ゲーム」(コーディネーション・ゲーム)を用いて 、買い占めが起きる理由とその解決策について考えていきます。 なお「買い占め」は、少数の買い手が商品をすべて買ってしまうような状況をイメージさせるため、本来ならば「買いだめ」などの表現
2011年3月11日、午後2時46分。三陸沖を震源とする大地震が日本を襲いました。死者約1万6000人、負傷者約6000人、行方不明者約2600人(2011年9月11日時点)に及ぶ大惨事に発展した。 こうした中、自衛隊は「10万人体制」を展開。約1万9000人を救助しました。救助された約2万8000人(2011年3月20日時点)の7割に相当します。これは、自衛隊が発災から72時間で3万人近い部隊を現地に集めたことが効を奏したから。その背後には、火箱さんが辞任を覚悟で決めた「即動」が大きな役割を果たしました。 火箱:当時、私は陸上自衛隊(以下、陸自)で幕僚長(以下、陸幕長)*を務めていました。救助部隊を少しでも早く現場に急行させるため各部隊に出動を命じました。災害に遭った人の生存確率が高いのは発生から72時間と言われています。危機的瞬間には手続きの万全さより迅速・実効性ある行動が勝ると思い、
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