被選挙権年齢下限の25歳で当選した岡山県の小さな町の議員が今年10月、詐欺容疑で逮捕された。議員の資質が疑わしい若者が、なぜ担がれたのか。地元を歩くと、高齢化で衰え、自治体合併で傷んだ地域の姿が浮かんだ。町民の一人は落胆をにじませて言った。「あいつは、限界集落の期待の星じゃった」【樋口淳也、本多健】 【和気町の地図や人口構成】 ◇過疎、合併…議員育成力衰え 大雪が降った今月18日、名古屋地裁。傍聴人もまばらな法廷で、前和気(わけ)町議の片倉弘貴被告(29)は、起訴内容の認否に「間違いありません」と消え入るような声で答えた。 初当選から3年後の今年3月末に失踪。京都市内で10月9日、放置自転車を持ち去った疑いで逮捕された。所持金は8円。釈放後、失踪理由を「本業(イベント企画業)の借金でどうしていいか分からなかった」と周囲に説明したが、同29日に今度は詐欺容疑で愛知県警に逮捕された。