2月20日 外は車軸を流すような豪雨。 ときおり、切り裂くような鳥の声が聞こえる。 アロハに半ズボンにゴム草履というカジュアルないでたちで、ベランダからぐっしょりぬれた鬱蒼とした木々を眺めている。 ここはバリ島 Ayodya Resort むかしのヒルトンである。 10 年ほど前にも同じホテルに泊まったことがある。 バリはよい。 私は地の気に感応するタイプであるので、土地の気がよいと眠りが深い。 バリは眠りが深い。 つねづね申し上げているように、東京で私が定宿にしているのは学士会館であるが、その理由はよく眠れるからである。 神田一ツ橋の街の真ん中のホテルでよく眠れるというのは不思議であるが、あそこは平川門の真東だから、と東京でたぶんもっとも呪鎮が効いているせいだと私は考えている。 単に霊的に静かということではないように思える。 いろいろなものがざわめているのだが、それがある種の秩序を保って