『私ってどんな人?』 ある日の夕方、彼女は突然僕にそう投げ掛けた。 自分のことは自分が1番わかっているように思えても、結局のところ個々の評価なんてのは自分以外の誰かがするもんであり、自信に転ぶか劣等感に転ぶかはそれと自己評価の差し引きにより叩き出される。 だから自分がどういう人間かを確認する際、その相手の一人に僕を選んだ彼女の選択はとても正しかったと言える。 なぜならば、僕は彼女の兄だから。 この質問の相手は僕の妹。名前は伊藤沙莉。職業は女優である。 要するに完全に血が繋がっているわけであり、正直似たようなところもあるので、そりゃあわかるはわかるがなんともこっ恥ずかしいのも否めない。 我が家は3人兄妹であり、僕は長男、彼女は末っ子。 彼女は小学生の頃に芸能活動を始め、僕は大学4年の頃に芸人の世界へと足を踏み入れた。 スタートの時期は大分離れていて、芸歴だけでいったら彼女は今年で17年目。