インターネットの普及によってなんでも検索できる世の中になり、単なる知識や情報にはあんまし価値がなくなったいま、価値をもつものってなんだろう、と思ったら、時間をかけたものだよねって話になって。時間をかけた経験や成果物というものだけは、そう簡単に取り替えられたりしない、固有の価値をもつものでありうるんじゃないかと。少し前に「最近考えているのは、どんな世の中になっても、美しいものというのはディスカウントされないんですむんじゃないかということです」と書いたのも、そこにつながっていて、手間ひまや時間がかかったものはだいたい美しいからです。そしてそういうものを手に入れようとするならば、やっぱり人はコストを支払うだろうと思うからです。だいぶ前に堀井憲一郎「若者殺しの時代」という本を読んだときの自分の感想からの抜粋。この状況に対して堀井氏は「逃げろ」といい、そのひとつの方法として「伝統文化を身につける」こ