「スラムダンクに関して、一つ不思議なことがあってね」 私が言うと、セキゼキさん(仮名)がちょっと嫌そうに顔をしかめました。 「なんで今更スラムダンクなんだよ……」 「いやいや、今更だからこその疑問ですよ。つまりね、スラムダンク連載中って、けっこう流川ファンが多かった気がするの」 「三井派も多くなかったっけ?」 「ミッチーはほんとにいいよね! 私も断然ミッチー派ですけど! でも当時は流川派が多かった」 「それで?」 「ところがこの年になって、スラムダンク懐古話になると、三井派が圧倒的多数なんだよ。スラムダンク好きの女性はオール三井好きだと錯覚しそうになる。この比率の変化は一体なんだ」 「そういえば、おれの周りも三井派がだんだん増えた気がする」 「仮説は二つ。年をとると共に嗜好が変わり、流川派の多くが三井派に流れたというものが一番目。流川派は既にスラムダンクのことなんて忘れて生きているが、三井