経済学の伝統的な1分野として、社会主義経済と資本主義経済の比較を扱った「比較経済学」(Comparative Economics)は、旧東欧、ソ連の社会主義の崩壊とともに死に絶えた。しかし、90年代に入ってから資本主義経済の多様性、たとえば、英語圏諸国、大陸ヨーロッパ、日本を含むアジア諸国の経済システム、パフォーマンスの違いを説明しようと試みる新たな経済学のアプローチが生まれてきた。その1つが、スタンフォード大学の青木昌彦教授が創始した「比較制度分析」(Comparative Institutional Analysis)である。「制度」をゲーム論の立場から、「人々の間で共通に了解されている(共有された予想、shared belief)ような社会ゲームが継続的にプレイされる仕方」と考え、制度の多様性、複雑性、頑健性及び制度変化の可能性について厳密な理論的基礎を提供した。 一方、経済学のメイ