小林フェロー:今回紹介する論文は、知的財産に対する独占権(特許権など)を強化することが、実は、社会的に最適なレベルの科学的・技術的な知識の発見や蓄積を阻害し、社会全体の厚生から見て、過小な知識レベルをもたらしてしまうかもしれない、と主張する論文です。 Michele Boldrin and David K. Levine "A Model of Discovery," American Economic Review: Paper and Proceedings 2009: 99(2): 337―42.マスターくん:Michele Boldrin and David K. Levineの論文からは、どんな結論が導かれているのですか? 小林フェロー:経済学や知的財産権保護の議論での通念は、知的財産権の保護の強化は、知的革新(イノベーション)を促し、知識の集積レベルを上げる、と考えられています